はじめに
私はOPPOが好きだ。
もちろん、ナーフされた日本版ではなく、潰されないのか心配になる反抗心をいっぱい積んだ本国版が好きだ。
そんなOPPOの最新フラッグシップモデル、“Find X8 Ultra” がついにデビューした。 前々作Find X6 Proは3月に発売、前作Find X7 Ultraは1月に発売。このため時期は早まっている感じだったのだけど、X8に関してはX8(無印)とProが11月に発売され、最上位モデルのUltraは後出しになっていた。
日本国内のメディアは日本で売られているX8(無印)を「ハイエンド」などと言ったりしているが、現行OPPOのラインナップから言えば真ん中くらいの製品で、これに対する不満は日本で無印Find X8が「ハイエンド」として売られているのが納得できない話で述べた。
今のところX8 Ultraを購入するかは考え中だが、日本語情報がいまいち整理されていないように見える(無印が日本で売られてしまっていて、Googleの検索が吸われている影響もあるか?)ので、Ultraについて本国サイト記載の内容を中心に解説していく。
本国のラインナップを整理する
日本のOPPO製品は(Find以外は)全部日本仕様になっていてグローバルとは異なるものになっているので、本国版のスマートフォンラインナップを一度整理しておく。
なお、OPPOは傘下としてOnePlusとRealMeがある。 RealMeはアジア向けで本国では展開されていないのだけど、OnePlusはOPPOと結構似たラインナップをしていて、バリアント、もしくは補完関係にあったりするが、今回はOnePlusについては言及しない。
また、併売されている旧型モデルについても言及しない。
Find N5
フリップタイプのスマートフォン。8999〜10999CNY。
OPPOのスマートフォンラインナップの頂点に立つモデルだけど、フリップタイプなのであまりそういう扱いを受けていないのはGalaxyと同じような感じ。 そもそも中国で今一番求められているスマートフォン性能はカメラなので、カメラが最強でないという点でフラッグシップモデルとして扱いにくいのかもしれない。
N5は今のところグレード展開がなくて、プロセッサはSnapdragon 8 Eliteを採用している。 12+256GB, 16+512GB, 16GB+1TB+衛星通信の3タイプがラインナップ。
Find X8
X8, X8 Pro, X8s, X8s plus, X8 Ultraと実に5グレードもあり、さらにそれぞれが異なる仕様もラインナップするOPPOの中核モデル。
X8 UltraはSnapdragon 8 Eliteを採用するハイエンドモデル。 5つのカメラを備え、最強モデルとしての位置づけを強く打ち出している。6499〜7999CNY。 X8とX8 Proは同じようなもので、X8s+がX8のマイチェン版、X8sがX8s+の小型版という位置づけなので、Ultraだけが全然違う。
X8とX8 ProはDimensity 9400採用のミドルクラスモデル。 違いとしては、X8は3つのカメラ、X8 Proは4つのカメラを搭載しており、ディスプレイサイズもX8 Proのほうが少し大きい。 両方とも5つも仕様違いがある。無印は4199〜5499CNY、Proは5299〜6799CNY。
ちなみに、大きさが違うことからも分かるようにそれぞれ専用筐体なのだけど、無印はカメラが4つある風のデザインになっていたりする。
X8s+は無印ベースでDimensity 9400+を採用したリファインモデル。 4仕様あって、4199〜5499CNYと価格も無印と同じで、恐らく無印がマイチェンしたもの(無印はなくなる)と思われる。
X8sは無印(6.59inch)よりも小さい6.32inch仕様。 小さいとはいえ2640x1216pxのディスプレイで、最高240Hz駆動のAMOLEDになっている。 5仕様で4199〜5499CNYと、価格的にはX8s+と同じ。 ただ筐体違いということもあってカメラ部分も専用デザインに。しかしこちらも4つカメラがある風になっている。
Reno13
若者向けに位置づけられるのがRenoシリーズ。 以前はFindとほとんど同じ構成で、ProはSnapdragon8を採用していたりしたんだけれども、現在はFindより明確にしたのローミドルになった。
Findとほとんど同じ構成だった頃は、「ディスプレイが少し妥協がある」「カメラが1世代前」くらいしか違いがなくて、その割に価格差がえげつなかったため、超お買い得モデルだった。
プロセッサはReno13, Reno13 ProともにDimensity 8350。 カメラは無印が50Mpx+800Mpx広角、Proは50Mpxのペリスコープ望遠が追加されている。
無印は5仕様、Proは4仕様あり、価格は無印が2699〜3799CNY、Proが3399〜4499CNY。
K12
タフさを強調した実用主義モデル。 Plusとxがあり、xはOPPOで一番安い。
K12PlusはSnapdragon 7を搭載。 50Mpxのメインカメラと、8Mpxの広角カメラを備える。 価格は1499〜1899CNY。
K12xはSnapdragon 695を搭載。 50Mpxのメインカメラと、2Mpxの89°ポートレートカメラを備える。動画はFHD30fpsまで。 価格は1099〜1699CNY。
正直、K12xは日本で売っているA3のモディファイ版よりもはるかに良いため、私はこっちを導入してほしかったなと思っている。
A5
OPPOのエントリーモデル。
A5はSnapdragon 6(第1世代)、A5活力版がDimensity6300、A5 ProがDimensity 8300を搭載している。 カメラは基本的に50Mpx+補助用という構成で、Reno13無印と大きな違いとして動画が無印とProは4kは30fpsまで、A5活力版は4k非対応となっている。
ちなみに、「活力版」とは、要はlite。
A5が1299〜1999CNY、A5活力版が1199〜1599CNY、A5 Proが1999〜2499CNY。
Find X8 Ultra
プロセッサまわり
プロセッサはSnapdragon 8 Eliteを採用。 N5が7コアなのに対して、8コアになっている。
ラインナップは
- 12+256GB
- 16+512GB
- 16GB+1TB+衛星通信版
の3タイプ。
ディスプレイ
無印/Proもそうなのだけど、フラットディスプレイになった。 エッジディスプレイがFindの証みたいなところがあったのだけど、ついにやめてくれたらしい。
ベゼル幅は1.4mm。
ディスプレイサイズは6.82inch。 Find X8 Proが6.78inchなのでほんのわずかに大きい。 ピクセル数は3168x1440で、Proよりも明確に高精細であり、X7 Ultraと同じ値。
リフレッシュレートは最大120Hzの可変。タッチサンプリングレートは最大240Hzでこの辺は従来と変わらず。
輝度は標準800nits、最大1600nits。ピーク輝度は記載なし。
カメラ
引き続きハッセルブラッドとのコラボとなるカメラは驚きの5機搭載。 X6あたりからスマートフォンよりカメラと化していたFindだが、さらなるカメラモンスターになった。
うち1機は9スペクトラムカラーセンサーであり、これを用いて画像を細かく分割して色温度を設定するようになった。 これはProXDRで実現している。
このカメラについてはサイズが小さいため、見た目上は従来どおり4眼の顔をしている。
さて、ここで今回のカメラのコンセプトの話になるが、今回は「夜景ポートレート」に相当力を入れている。 今まで夜景に強いことを推してきた割にライバルとの比較でいまいち評価されなかったためか、それはもう全力投球である。 このため、普通に考えれば1インチのセンサー(LYT-900)を搭載したカメラがメインカメラという扱いになると思うのだけど、実際は1/1.5inchのLYT-700を搭載した3倍のほうが1番目のセンサーという扱いになっている。
紹介されている順番でいくと、向かって右に位置しているのが70mm 3xのメインカメラ。 F2.1と結構明るくて、50Mpxの1/1.5inch LYT-700を採用。 夜景、ポートレート、マクロに使うカメラでもあり、本当にメインの位置づけになっている。 センサーもX7 UltraのIMX890からLYT-700になっている。
X6 Pro、X7 Ultraと3倍カメラにはペリスコープを採用していたのだけど、今回はその記載がなくなっている。 が、画像を見る限りペリスコープである。
上に位置しているのが6倍望遠カメラ。 135mmで、1/1.95inchのLYT-600を採用。50Mpx。 逆ペリスコープ……らしい。F3.1と暗めに感じるけれど、集光量は251%増加とか。 こちらもX7 UltraではIMX858だったので、刷新したことになるし、センサーのグレードはだいぶ上がった形。
向かって左に位置するのが23mm広角カメラ。 X7 Ultra同様にLYT-900採用で、センサー的にはこれが一番高性能。F1.8。 23/28/35/47mmにワンタッチで切り替えることができるようになっていて、X6 Proにも2段階での切り替えがあるんだけれど、地味に便利な機能。
そして最後に15mm超広角カメラ。F2.0、120°。 センサーは1/2.76inchのJN5で、X7 Ultraは超広角にLYT-600を採用していたことを考えるとグレードダウンした形。 さらにいえばX6 Proの超広角は1/1.56inchのIMX890だった。 OPPO的にも超広角はさらっと流してる。
あまりアピールされていないポイントだけど、最大の動画フォーマットが4k 60fpsから4k 120fpsに上がった。 ただ、使うことは全くなさそうだなと私は思っている。
張り出しは5.29mm。
色
カラーラインナップはピンク、ムーンシルバー、ブラックの3色。
ピンクが入ったのは相当珍しいけど、なんと今回のメインカラーである。
X2からX7まではガラスやフェイクレザーなど特殊なマテリアルが採用されていたりしたけれど、今回は全カラー普通にメタルになった。
バッテリー関係
6100mAhのバッテリーを搭載し、最大100W充電に対応。
充電はより細かく言うと
- 100W SuperVOOC
- 80W SuperVOOC
- 67W SuperVOOC
- 65W SuperVOOC
- 50W SuperVOOC
- 33W SuperVOOC
- 55W PD-PPS (11V/5A)
- 44W UFCS
- 18W PD (9V/2A)
- 18W QC (9V/2A)
- 50W AirVooc
で、結構幅広く対応している。 OPPOの規格なのにSuperVOOCは対応してないやつがあったりして厄介なケースがあるのである。
個人的な所感
OPPOはかなり長い間夜景に強いことを推していたりするんだけど、今回は夜景ポートレートをかなり強調していて、鮮やかな夜景と美しい肌の色を両方実現できますっていう売り文句っぽい。
ただ、私には人物写真を撮る機会は無に等しく、専ら静物写真を撮っているため、この点についてはあまり惹かれない。 そして静物写真という観点では、割とX2 Pro (IMX-689)ですらも満足なレベルで、「カメラをもっと!」という気持ちに乏しい。 X6 Pro (IMX-898)になって夜の雪みたいな難しいシチュエーションがちゃんと写るようになったから意味がないとまでは思っていないけど。
とはいえ、見たところ3倍のカメラは相当使いやすく仕上げた感じである。 3倍カメラはX7 Ultraから追加されたものだけど、今回は「これがメインなんだ!」という強い意志を感じる。
正直一番大きいと思うのは、フラットディスプレイになったこと。 エッジディスプレイがX6 Proの一番のストレスポイントだから。
またピンクもいいなぁと思っている。 フェイクレザーを採用したX7 Ultraはあまり惹かれなかったのだけど、今回のピンクは相当いい。 黒もなかなかクールな色をしているので迷うところ。 ムーンシルバーはちょっと黄色がかった白って感じなんだけど、これは個人的にはそんなにかな。 どうせカバーで隠れてしまうものではあるけれども。
処理性能は8 Gen2から比べたら相当上がっているはずだけど、8 Gen2でも性能不足を嘆きたくなるケースはほっとんどないので、必要としている気はあまりしない。
こう考えるとスマートフォンの性能がだいぶ飽和していて、欲しいと思えるハードルが上がっている、言い換えればすでに満足してしまってるんだなって感じる。 とはいえ、「使いづらさ」がX6で100%満足ではないポイントになっていて、その一番のポイントであるディスプレイの改善は非常に大きく、カメラの微妙な使いづらさ(X2のほうが使いやすい)の改善が期待できるといったあたりが惹かれるポイントになってて、買ってもいいかもと思っている。