製品概要
ENIGMAはバイク用品メーカーのコミネの新ブランド。
もともとは2023年に登場したCEレベル2のソフトプロテクターである「ENIGMA CE2」が発端で、その後より軽量なCEレベル1の「エニグマライト」が登場。 その後CEレベル2のほうが進化してG2, G3と展開されている一方、G2が出たあたりでブランド化された。
| 部位 | 初代 | Light | G2 | G3 |
|---|---|---|---|---|
| 胸 | SK-850 | SK-858 | SK-869 | SK-889 |
| 肩 | SK-853 | SK-857 | SK-866 | SK-886 |
| 肘 | SK-845 | SK-879 | SK-893 | |
| 肘膝 | SK-856 | SK-865 | SK-885 | |
| 膝 | SK-841 | |||
| 背中 | SK-847 | SK-859 | SK-867 | SK-887 |
| 腰 | SK-842 | SK-860 | SK-864 | SK-884 |
ENIGMAブランドは「KOMINEロゴが恥ずかしい」という層に向けてKOMINEロゴを隠し、簡素なENIGMAロゴで展開。 広告費を削減して安価に販売しており、ラインナップもウェアやグローブ、簡易ガレージなど幅広い。
今回扱うのはCEレベル2のソフトプロテクターであるENIGMA G3。 2026SSのラインナップではウェアにセットされているのはENIGMA G2であり、ENIGMA G3はプロテクター製品を買わないと入手できない。 今回は上半身フルセットのENIGMA G3が採用されたSK-891 ENIGMA G3 Inner Body Armorを購入した。
ちなみに、ENIGMA G2を採用したウェアでもバックプロテクターはSK-815を採用しており、ENIGMAのバックプロテクターはそれ自体単体で買うしかないものになっている。 コミネはSK-815が涼しいと宣伝しているけど、個人的な感覚としてはそんなことは全くない。
なおこの記事、6月に書いたのでかなり先を行っている感じだったのに、入院だなんだがあって出すのが遅くなってしまって旬を逃している。
G3の特徴
私はG2をフルセット持っているわけではないので、あくまで参考程度に。
G2と比べると形状が単純になり、軽くなった。
| 部位 | G2 | G3 |
|---|---|---|
| 胸 | 156g | 138g |
| 肘膝 | 122g | 135g |
| 背中 | 460g | 356g |
| 肩 | 101g | 110g |
※ 1個あたり
G2は1218g、合計G3は合計1122gである。
ただ「軽くなった」というのはあくまでENIGMA比であり、非ENIGMAのプロテクターが採用されているジャケットに入れ替えると重くなる。 例えばハードプロテクターを採用するモデルはSK-689 (64g), SK-636 (44g), SK-635 (76g), SK-815 (62g)という構成で、合計重量は430gと雲泥の差がある。
昔はソフトプロテクターというとペラペラのスポンジでしかなく、軽量で動きやすいという位置づけで防御力よりも存在感のなさを重視する人に好まれていたのだが、現代のCE規格を通すようなソフトプロテクターはむしろ重量がかさみがちで、ハードプロテクターのほうがずっと軽く存在感はない。
ただ、「やわらかさ」という点ではG2からG3でかなり進化しており、どの方向にも曲がるようになった。 このせいで肘に関しては丸まらずにちょっと邪魔な感じがするけれど、背中は動きが阻害されないのでかなり楽になる。 個別に買うなら肘はG2でもいいかも。
一方、背中のハードプロテクターは姿勢を支える機能でもあるので、柔軟なバックプロテクターは好ましくないという考え方もある。
実使用レビュー
世界的に流行はソフトプロテクターらしくて、KOMINEもソフトプロテクターであるENIGMAに力を入れている。
ただ、実際に今回ENIGMA G3を使って思うのは、厚みがあって重く、着用もそれなりにしんどいということ。
フィット感に関しては、確かにENIGMA G3のほうが曲がりやすいのだけど、そもそも「ぴったりフィットしている」という前提が必要で、ジャケットに少しゆとりがあったりすると曲がらなくて突っ張る。
それに対してハードプロテクターは最初から曲がった形で作られているので着心地への影響が少ない。
通気性というアドバンテージはあるけれど、やはり個人的にはハードプロテクターのほうが好み。
存在感が薄いが、実はKOMINEはドライカーボン製のハードプロテクターを拡充している。 プッシュしていたKK-906(胸)に加え、KK-915(肘膝)、KK-916(肩)があるため、ジャケット一式を高性能ハードプロテクターに入れ替えることは可能。背中はSK-829がある。 ただしKK-906が20000円、KK-915が18000円、KK-916が17000円で、トータル55000円となかなかの金額。SK-829まで入れると59500円になる。 その下はSK-807(胸: 4000円), SK-635(肘膝: 1200円), SK-636(肩: 1200円)でSK-829を入れて10900円とだいぶ落差が激しい。
ちなみに、SK-823が胸・背はハード、肩・肘はソフトで、さらに脇腹もソフトプロテクターが入っている(SK-813)インナーで、こちらは22000円。 フルENIGMA G3であるSK-891がプロテクター合計に対してそれほど高くない1のに対して、SK-823は使われているのがSK-807, SK-829, SK-812, SK-835, SK-813で合計13100円なのでインナー代がだいぶ高い設定になっている。ただ、これらのプロテクターをぴったり収められるウェアがないので、どちらかというとこの構成が欲しい人はSK-823を使うほうが賢い。
ENIGMA G3はこれまでのENIGMAシリーズからすれば軽く、柔軟に進化した、と評価できるだろう。 しかし、ハードプロテクター派の私にとってはENIGMAは依然として「重くて分厚くて存在感がありすぎる」に留まっている。 ハードプロテクター系のKOMINEジャケットにおけるENIGMAを入れる「アップグレード」が安全性を含んだ話をしているのかは不明だが、個人的には「通気性のためにほかを犠牲にする」という選択をしたい場合を除けば採用したい気持ちはかなり低い、というのが感想だ。 装着感と重量はかなり重要な問題だ。
さらにいえば、メッシュジャケットにとってはプロテクターもメッシュにしたい動機が強い一方で、安全性で言えば耐摩擦・体貫通が弱いジャケットを使っている以上、隙間のないシェルで覆われたハードプロテクターが欲しいという部分もある。
真夏に少しでも涼しくするために使いたいのであれば、そもそも防御力に妥協している面もあるためにENIGMA Lightのほうがいいんじゃないか……と私は思う。 ハードプロテクターモデルと着心地の差がだいぶできてしまうので、個人的にはG3になってもまだあまり好きではない。
ちなみにもう少しむずかしい問題として、インナープロテクタージャケットとして見た場合、Alpinestars Base Mesh Jacketが18500円と価格的に結構近い。 ジャケット等と比べると価格競争力も実はそこまで高くない。
こういうプロテクターを装備したほうが売れる、という話なのだろうけど、個人的には従来のハードプロテクターをジャケットに入れてもらったほうが嬉しいな……感がある。 なにせ、圧倒的に軽い。
ただ、防御力を考えた場合、冬ウェアの場合はENIGMAのほうが防御力が高そうだ、という感じはある。あと、比較的ダメージが小さいクラッシュであればENIGMAのほうが痛くなさそうでもある。
SK-891を使う前提であれば突っ張り感はかなり減る。 体へのフィット感が上がるからだ。
SK-891が15000円なのに対し、SK-889, SK-887, SK-885, SK-886は合計10600円。↩︎