Universal Audio Volt シリーズ 簡単なレビュー

2022-03-31 02:21:11

Volt1を購入して、ちょっと試したのでTwitterで言及したものに加筆修正してお届けする。 (Twitterだと色々省略しているため)

レビュー

出力アンプの音が本当によくて、低音がよく出て、音にすごく艶があり、ディティールが浮き出て立体感があってモニターにも適している。 安いヘッドフォンを使ってて、「あれ、これ安物だよな?」と確認してしまうほど。 低音も鳴るしディティールがよく出るヘッドフォンとはすごく合いそうなので、K712 PROとか相性すごく良いかも。持ってないので試せないけど。 PRO 580iはなかなか良好。Signature Studioは押しが出てディティールが浮き出るので非常にマッチしている。

Scarlett 2i2もなかなかいい音ではあるんだけども、出力小さめでフラットな音なので、リスニングとしてもより魅力的なサウンドだし、制作面でもディティールがより出る。このアンプのサウンドは非常に私の好み。

かなり濃い味なので制作に使う上ではあんまり好みじゃないって人もいそう。 ただ、ディティールはよく立つので制作で不自由があるわけではない。どんなサウンドでも魔法のように素晴らしいサウンドに、みたいなことではなく、ちゃんと仕上がっていない音源だと仕上がってない感じがすごく出るので、制作上の機能性はとてもしっかりしている。 サウンド傾向はややウォーム。

176/276と違って入出力とも2本しかないレベルメーターがある。見やすいとは言えないけど、上側のランプの色が変わることでレベルを表現し、実用的。 176/276はもっと使いやすいだろうと思う。 リアルタイム更新なので0dBを超えてないかを確認するのに使うのには不向き。

48Vはオン・オフともにしばらく点滅する仕様。これまた使いやすい。 これと関係あるのかどうかわからないけど、このオンオフでブツッとしない。 マイクのゲインを0にしたときにもミュートされてるっぽいので、それも関係あるかもしれない。

ダイレクトモニターはVolt1だと単純にオンオフ。 Volt2/Volt276は単一ボタンで色が変わり、モノミックスとステレオが切り替わる模様。 切替時にブツッとしないのはポイント高い。

バスパワー駆動でありながら電源スイッチがある。斬新。 しかもがっしりしたロッカースイッチ。なんのためにあるのかはよくわからない。

インタビューでも言及されているけれど、MIDI IN/OUTがある。これまた珍しい。 ビギナー向けに考えた結果らしいけれど、実際にビギナーがVoltを選ぶかどうかは難しいところ。

前面のランプが透明なボタンになっている。しっかりとカチッとする感触で、非常によろしい。 ボタン自体が光るので、状態は非常にわかりやすい。光もあまり強くなくてきれい。 ボタンは節度がある分重いので、あまり高い位置に置かないほうが良い気がする。

またボリュームノブはかなり重め。調整しやすく素晴らしい。 油圧感のあるしっとりしたフィーリングだ。

アンプ出力は結構大きめ。よく音が出る。 0まで回すと出力自体がなくなる仕様。

ちょっとしたことでプチプチしてしまうので、若干バッファは詰めにくいかも? もっとも、それはLinuxのドライバが仕上がってないのかもしれない。

マイクはまだ試してないけど、しっとり艶のある印象。

筐体は剛性感がめちゃあってずっしり重い。MacBookみたい。 恐らくアナログ回路が詰め込まれているために重いのだろうけど、持ち運びにはあんまり向いてないかも。 アナログ回路が詰まっているなら衝撃にも弱いはずだし。

トータル、「すごくよく考えられててめちゃくちゃ使いやすい」という感じ。 Universal Audioってどちらかというと我が道を行くタイプのイメージがあったんだけど、実際はめちゃユーザー指向。 印象がすごく変わった。

Volt1はLinuxではステレオデュプレックスとして認識される。 (実際にはモノラルである)入力は2つのチャンネルから同じ信号が入っているように認識される。

Scarlett 2i2とかはiPhoneでも動作はするけれど、バスパワーで動作に必要な電力が賄えないため、セルフパワーハブを用意する必要がある (Androidスマートフォンは普通にいける)。これはUSBクラスドライバで動作するオーディオインターフェイスで一般的な仕様ではある(一部必要電力が非常に少なくてiPhoneでもバスパワーで動くものもある)けれど、微妙に不便。いや、私はAppleデバイス使わないので気にならないけど。 セルフパワーハブはやや調達しにくいのでひっかかる部分なのだけど、Voltシリーズはパワー供給用の口が別にあり(丸コネクタ。USB-丸のケーブルが付属)、単にUSBチャージャーとかを用意すればいける。

これだったらVolt276を買っていてもよかったかなという気もする。 防音室は2in/2outのインターフェイスが必要だし、ワークルームで収録することは今やない(収録は基本的に防音室で行う)ためワークルームは1inで良い。このために単純にこの都合で言うとScarlett 2i2を防音室設置にするからVolt1でよかったんだけど、防音室にVolt276っていうのもアリだなぁと思う。

そのうちSSL 2+も試したい。オーディオインターフェイスが余るけど。

要約

  • 細かいところまで使いやすさに優れるとてもユーザー指向な製品
  • 低音中心に色付けは強いがディティールが浮き出るアンプがすごくいい
  • ライバル製品と比べ携行性は少し劣る
  • Volt276になると同クラスの製品としては高価だが、その価値はある。Volt1/2もお買い得

余談 最近のIF考

1万円台のインターフェイスが群雄割拠で、その上は売れ線ではない、みたいな時期がしばらくあったけれど、最近はむしろ1万円台のメジャーなインターフェイスがいまいち流行ってない。

今主流というか、注目度が高いのが2万円前後から3万円前後のもの。

まず、もっともスタンダードなところに目を向けると、Steinberg (UR), Roland (Rubix), Tascam (US), ZOOM (UAC)といった製品がある。 これら製品の中で一番強いのはSteinbergらしい。

これらの製品は、あまり大きな特徴がないことと、USB2.0 Type-B接続が多いのが特徴。 (URはType-C接続, UACは3.0 Type-B接続)

これらのライバル製品としてはNative Instruments (KOMPLETE AUDIO), Behringer (UMC), PreSonus (Studio), Mackie (Onyx), Atruria (MINIFUSE)がある。 NI, Behringer, Mackieは安価で1万円ちょっとくらいで、機能的な面より価格的な面に特徴がある。 ArturiaのものはUSB Type-C接続でUSBハブを持っており、さらにループバックもできると安価な割に結構明確な特徴がある製品だ。 ちなみに、サウンドハウスにはESIというメーカーのU22というインターフェイスがあるが、私には未知のもの。

対して同様に最低限備えるべき機能を持ちつつ5000円ちょっとくらいの非常に安価な製品というのもある。 M-Audio (M-Track), Behringer (UM)あたり。ここらへんが実際悪くない、というのが定番製品の影が薄くなる要因でもあると思う。

あとNative Instrumentsのハード分野での躍進がすごくて、FATER鍵盤を投入したKOMPLETE KONTROLもそうだけど、低価格なのに基本部分がすごく良いのでネットで情報収集するタイプの人はそれ基準になるから、というのも大きそう。

それよりちょっと上位にあるのが今回のUniversal Audio Volt, MOTU M2/M4, SSL SSL 2/2+, Audient iD4MkII/iD14MkII, Focusrite Scarlett, IK Multimedia AXE I/Oになる。 だいたい3万円前後だけど、Scarlettに関しては結構安い。

これらのモデルの特徴は、Type-C接続になっていて積極的にトレンドを拾っていることと、明確な強みをもっていること。 だいたいは上級機の機能を持ってきていたりみたいなのが多い。

Scarlettの場合上級機譲りのハードウェアと、マイクプリに味付けを加えるAirスイッチ、VoltはマイクエフェクトのVintageとコンプレッサーの76というふたつのアナログ回路、SSLはマイクエフェクト4kスイッチ、M2/M4は上級モデルに使われるD/Aチップ、iD14MkIIはADAT対応と柔軟なルーティングといったところ。

ここらへんの製品は正直どれも強力で、魅力的。 これより上の製品(だいたい5〜8万円くらい)になると多くはバスパワーで動作しないものになり、重量もあるし、サイズも大きめだったりするので手軽さが削がれ、さらに専用ソフトウェアでの制御が前提になっていたりもするのでそこらへんを嫌って、あるいは面倒としてあえてこのクラスのものを選ぶ人もいる。 私もLinux使いとしてはUSBクラスドライバで動作しないといけないし、選択できない可能性はそれなりにある。Clarettはマニュアルに

(Clarett 4Pre USB は Mac に対してクラスコンプライアントであるためドライバは不要です)

とあり、大丈夫なんだけれども(といっても、専用ソフトで制御しないといけないものではある)、さらに上位となるUniversal AudioのApolloはLinux上で動作しない。

また、ここらへんはハイアマチュアやプロ向けで複雑であることも要因のひとつ。例えばVoltならぽんぽんっとスイッチを押してフェーダーを回せばはい準備完了。そういうのもあって、中級機・上級機をもちつつ、セカンドとして3万円前後の魅力的な入門製品を使う人も結構いるみたい。

本当に魅力的なのでランクを上げても下げても、好みにあう3万円前後のインターフェイスを選ぶのはいい選択だと思うし、実際そう考える人が増えているから注目度が上がっているんじゃないかな。

あと、コロナ禍になってからミーティング向けにオーディオI/Oって話があったりしたみたいだけど、ミーティングにはバウンダリーマイクを使うほうが結局楽だし邪魔じゃないし、ってことになったり、ストリーマーの場合はUSBマイクのほうが便利だってことになったりしてそこらへんの需要が減ったのも関係してそう。 AG03がバカ売れしてたけど、ストリーマーでもAG03が欲しい人は限られてたはずだから。