TD-50X
TD-50XはRolandの新しいV-Drumsサウンドモジュールのフラッグシップ。
TD-50の系譜のモジュールはTD-17, TD-27, TD-07と揃ったため、TD-50の刷新はそろそろだろうと思っていたけど、単にXがついただけとちょっと拍子抜け感がある。
モジュールハードウェアは多分同じ。いや、よく見ると微妙に違うようにも見える。 液晶もきれいになっているし、ボタンも少し改善されている。 が、基板はおそらく同じだ。
しかし、実際は結構変わったっぽい。 アコースティック表現というか、もう生ドラムに思えてしまうような表現力に達している。 いよいよ「到達点」といえる感じになってきた。
TD-50Xのお値段は約23万円。フラッグシップだけあってモジュールだけでもなかなかお高い。
TD-50K2, TD-50KV2
TD-50XのキットはVADを別とすれば2種類。 TD-50K2は58万円、TD-50KV2は78万円。
主な違いは
- タム (K2はPDX-100x3, KV2はPD-108-BCx2 + PD-128BC)
- クラッシュ (K2はCY-14C-TとCY-16R-T, KV2はCY-16R-Tx2)
- スタンド (KV2のほうがでかい)
- キック (KD-140-BC vs KD-180)
PD-140DS, CY-18DR, VH-14Dという特長となるデジタルパッドは共通。 K2はしっかりそろったキットになり、KV2はVADとの間を埋める、よりリアルなルックスとフィーリングを求めている人向け(しかしVADは過剰だと思う人向け)という感じになっている。
TD-50 と TD-50X
TD-50の音色が450くらい、TD-50Xが900以上であるため、倍くらいになる。
既存のTD-50ユーザー向けにアップグレードキットが199ドルで販売される。 これはダウンロードコンテンツで、音源が更新されるが、従来のユーザーキットも利用可能だと言う。 ただし、ファクトリーリセットがかかるので注意が必要とのことだ。
このあたりは公式の動画を観るのが良いだろう。
TD-50よりもTD-30のほうが音色、拡張性で高い評価を受けている面があるが、 TD-30の開発者がTD-50Xの開発に入ったことで、サウンド面は大幅に強化されたようだ。 システム面の使い勝手も改善されたらしい。
なお、TD-50XはBluetoothが載っているけど、TD-50にはない。 アップグレードした場合、おそらくこのあたりは反映されないだろう。
TD-27 と TD-50X
機能的にはほぼ変わらない、という印象だ。
TD-27はBluetooth機能も入っており、エディット機能も操作はややしづらいがTD-50とあまり変わらない。 USBによる28チャンネルオーディオアウトも可能で、TD-50にある機能はほぼすべて載っていて、かつ先進機能があるため、「TD-27のほうがTD-50よりいいまである」という状態であった。
TD-50Xはこれを解消するニュアンスが強く、機能面ではTD-27とあまり変わらない。 このため、TD-27からTD-50Xへのアップグレードは、やや微妙に感じられる。 TD-27の音色数は728であるため、TD-50Xとの差が小さい、というのもある。
しかし、音色は、TD-50を継承しているために少しいまいちな面があるので、その点を考えると価値ありか。 あとは、後述するVH-14Dである。
しかしTD-50X結構高いので、悩ましいところではある。 おそらくTD-27KVユーザーはTD-50Xにモジュールを替えるメリットが微妙になってしまうため、それよりはキットアップグレードを考えることになるだろうが、VAD503/VAD506ユーザーはモジュールだけ変更してしまえば完璧なものになるため、悩むことになりそうだ。実際私も悩んでいる。
VH-14D
Roland第三のデジタルパッドはハイハットだ。
一時はaDrumsやe/Mergeの登場で、Rolandは最高のものではなくなってしまうのではないかと思われたこともあったが、 第二のデジタルパッドであるCY-18RDが出たとき、従来の。 すると問題は、どのeドラムでも満足なフィーリングが出せていないハイハットだ。 私はハイハットに対して神経質なほうで、練習が生ドラムにあまり活かせず困っている。
USB接続のデジタルハイハットは待望のものである。 TD-50およびTD-27もアップデートにより対応する。
ただし、「打点検知には対応しない」という。 おそらくこれは、打点による音色変化に相当する音がTD-27, TD-50に収録されていないため、音が表現できないということだろう。 TD-50Xアップグレードで対応することから考えてもそのように思われる。
お値段は77000円。 こちらはVAD503/506ユーザーにとっては「買い」なアップグレードで、TD-27KVユーザーでもアリなのではないか。
VAD706
VAD506との違いは
- モジュール (TD-27 → TD-50X)
- バスドラム (KD-200-MS → KD-222)
- クラッシュ (CY-14C-T → CY-16R-T)
- ハイハット (VH-10 → VH-14D)
- スタンド (DCS-10 → DTS-30S)
バスドラムとスタンドはオプションになっている。
バスドラムは20インチから22インチに拡大されている。 また、ハイハットは12インチのもの(VAD用の新型ハイハット)から目玉の14インチデジタルパッドに変わった。
TD-50KV2は4タム構成だが、VAD706は3タム構成。
VAD503/506は1色しかなかったが、驚きの4色展開である。 が、 なぜか日本ではグロス・エボニーとグロス・ナチュラルの2色のみ。日本企業なのに… 日本で展開されないのはグロス・チェリーとパール・ホワイト。グロス・チェリーは好みなのでとても残念。
VAD506は最高のものだったが、これにTD-50を組み合わせる「真のフラッグシップ」が欲しかったところではある。 そして、それを叶えてくれた。「TD-50とVAD」のトレードオフに悩んでいた人に朗報だろう。
VADのフラッグシップは過剰なものになるのではないかと心配していたが、VAD506で十分な存在感だったためか、変化は小さい。 シンバルが14インチのクラッシュから16インチのライドに変更された(VAD506は14インチと16インチ)が、14インチのほうが安定していて打感が軽いため、これについては少し微妙かもしれない。
逆に言えばVAD506の完成度の高さを感じさせるものでもあり、VAD506ユーザーのアップグレードとしては、VH-14Dが第一、TD-50Xが第二といったところか。