序
現在、私が「主力」と位置づけているキーボードは3つある。
1つ目は、Varmilo Dreams on Board 「胡蝶の夢」アイリス軸キーボード。(動画)
ややアーリーなタクタイルで、静電容量センサーを用いたもの。
2つ目はPulsar Gaming PCMKにDurock White Lotus (+EpoMaker Budgerigar & TTC Frozen Silent V2)を組み合わせたもの。(動画)
そして3つ目がKeychron V3 MaxにTTC Frozen Silent V2とGateron 0° Silentを組み合わせた静音キーボード。
主力というのは、利用率が高い、というか長文を打つ必要があるときに他のキーボードが接続されていてもこれらのいずれかのキーボードに付け替えて使用しているということだ。言い換えれば、「これらのキーボードはとても良いので、他のキーボードで長文を打つ気にならない」という水準にしているもの。
このうち常設のキーボードはVarmiloだけ。 Varmiloはメインデスクトップのキーボードとして接続されている。 メインデスクトップの環境は傾斜デスクを使っているため環境が他と少し違い、うまくマッチするキーボードが少ないので固定になっている。 そのほかキーボードを常設できる環境は寝室とリビングがあるのだけど、寝室ではRazer HUNTSMAN V2 TKLが採用されており、リビングは固定されたデスクがないのでArteckの無線キーボードを使っている。
見方を変えると、HUNTSMAN V2 TKLが「本格的にタイピングするときにはつけかえる」対象になっているということでもあるし、このポジションから脱落したキーボードの中には東プレRealForce、富士通コンポーネントLibertouch、Unicomp UltraClassic JPといった面々がいる。
これらのキーボードは、それくらい良いのだ。
一番は決まらない
それほどの差を見せるキーボードたちだが、この三者は甲乙つけがたい。
Varmiloのアイリス軸は、最も打っていて楽しいキーボードであり、かつコンスタントに打てる。 アーリータクタイルなので誤打が少なく、非常に安定している。隙がなく打ちやすい。
ただ、キーにある程度の重さがあり、長文だと疲れてくる。 一気に打ちたいときはメインデスクトップでも他の2台が用いられることがある。 また、以前言っていたゲームでの問題点は解消されたが、それでもリズムゲームなどで使うには少々重い。 打っていて思考が邪魔される感覚も少しある。
また、欠点として下段最右がFnになっている。 これが結構押し間違える。
ただ打っていて気持ちいいという点では最も優れており、タイピング量が少ない場合であればベストと言っても良い。
PCMKは完璧なキーボードだ。 基本的にはWhite Lotusを採用しており、軽く、かつ確かな打ち心地を提供してくれる。 打っていることははっきり分かるのに存在感は薄め。それでいて楽しい。 PCMKの下段配列は完璧であり、何の不満もない。
PCMKはしっかりとした重量のあるVarmiloやKeychronと違い結構軽めである。 ざっくり、VarmiloとKeychronは2kgくらい、PCMKは1kgくらい。 ただ、足のゴムが非常に良くできていることと、ケースマウントの強さがあるためネガティブに感じることはない。 むしろ持ち運びが楽という意味でポジティブだ。
ただ、存在感がなさすぎることもある。思考を邪魔しないというのは良いことだが、もうちょっと打ってる感が欲しいなと思うこともある。 また、逆にキーが重すぎてしんどく感じることもある。 これは単体で見たときにちょうどいいバランスであることが、どちらかに傾いて欲しいときにはマッチしないということだ゜ろう。
また、シャインスルーキャップを想定した北向きイルミネーションなのだけど、対応するシャインスルーキャップが純正のものくらいしかないので、ここは南向きのほうがよかったなと思うこともある。些事ではあるが、スイッチ全体が半透明のWhite LotusとFrozen Silent V2には問題がないものの、不透明なBusgerigarだと光がほとんど見えない。
Keychron V3 Maxは静音キーボードというのが価値のメインだが、他にも強みがある。 キースイッチがうまくはまらなかったためFrozen Slilent V2と0° Silentの混成になっているが、基本的には軽いリニア軸なので指への負担がかなり小さい。もちろん、ガスケットマウントなのも関係しているだろう。剛性は相当高いが。 軽く打ちたいときにはかなり活躍してくれる。 もちろん、静音キーボードということで夜中に窓を開けて作業するときなんかはこのキーボードに切り替えることもある。 音の心配をしなくていいというのは、心理的に結構な違いを発生させる。
反面、欠点に感じている部分もある。
まず、キートップが角が丸められたものになっているのだが、これが誤打を招く要因になる。 要はシリンドリカルで指を吸う面積が減っており、手が斜め移動するかな打ちと相性が悪い。
そしてもうひとつが、ノブのせいでFキーが圧縮されており、変換時にF9やF10といったキーを押し間違えやすい。
静音リニアはどうしても誤打率が高くなってしまい、キートップのせいでさらに高くなる。 総合的に見て誤打率が高いキーボードというわけではないのだが、VarmiloとPCMKは誤打率がかなり低いキーボードなので相対的に誤打がストレスになることがある。
スタビライザーの音が大きめで、静音ビルドにあまり向いていないのも難点のひとつ。 あと、ビジュアルが野暮ったい。
つまり、気分を盛り上げる楽しさを求めているときはVarmiloが一番だし、一方で指がしんどい気分がしんどいときは存在感の薄いKeychronがいい。 ほどほどであればPCMKが一番いい。 つまりこれらの良し悪しは私の体調や気分に左右される範疇にあり、結果的に甲乙つけがたい。
使い分け
Varmiloがメインデスクトップのキーボードから外れることはほとんどない。 どうしても筆が乗らないときに気分転換に別の場所で使うために外されることがあるけれど、相当に稀。 最近メインデスクトップは傾斜デスク以外でも使えるようにした(その場合は使えるディスプレイは1枚だけになる)ため、デスクを移されることはあるけど。
残る2枚の使われ方としてはワークルームのサイドデスクの場合が多い。 ここは、ラップトップで使う場合とメインデスクトップの第二環境として使われる場合がある。 そもそも、ここでラップトップで使うためにPCMKが導入された。
寝室で使うこともあるのだけど、最近はあまり寝室で作業する理由がないので機会は少ない。 一応、寝室で起きたらそのまま寝室のデスクで作業してそのうち寝る、みたいな生活は不健全だと感じているため、なるべく作業はワークルームでやるように心がけているのだ。
そして、構成の関係上サイドデスクで作業するときはPCMKかV3 Maxかどっちかを接続することが多い。
まず、ラップトップを使うケースに多いけれど、連日の作業になる場合はラップトップを片付けることがなく、キーボードも繋ぎっぱなしになるのであまり交換することはない。 夜通し作業したいときはV3 Maxに交換されるが、そうなるとV3 MaxからPCMKに戻されるタイミングがない。
じゃあ最初に何を接続するかという話になってくるのだけど、これはPCMKをつなぐことが多い。 PCMKは全体的に素晴らしく、かつ欠点がないため間違いない選択になるからだ。
つまり現状はPCMKを基本とし、静音キーボードが欲しいときや指が疲れているときにV3 Maxに交換する方式が取られている。
寝室ではたいていの場合、寝室常設のHUNTSMAN V2が使われているけれど、長文を打ちたいときはV3 Maxを持ち込んでいる。 PCMKは基本的に本格的に作業したいときに使うキーボードになっているためあまり寝室に持ち込む理由がないのと、V3 Maxは無線接続できるので寝室に持ち込みやすいから。
まだ残る究極の可能性
PCMKとWhite Lotusの組み合わせは、私の考える現状究極のキーボードである。 これを超えるものを作るのは難しいと思うが、一方で「現状ありうる究極のキーボード」はまだ可能性を残している。
WS Pearlスイッチだ。 試したことはないが、究極のスムーズさを持つリニアキーボードというのは、今までにない方向性になるだろう。
ベースはKeychron Q3 Maxが究極に近いか。 V3 Maxがキーがうまく載らなかったのが気になるが。
キーキャップはGRAPHTのDesigner’s Keycapが良いだろう。 私がKeychronのキーキャップをあまり評価していないことと、Designer’s KeycapがOEMプロファイルで非常に素晴らしいキーキャップであることを評価してのこと。 最初、ちょっとざらっとしているのが気になったが、しばらく使っていたら非常に良い感じになった。
しかし、全部で6万円くらいするキーボードが出来上がる。 キーボードに6万円…… ちょっと私でも躊躇いがある。 そもそもQ3 Maxが高いことが影響しているので、V3 Maxベースにしたり、あるいはPCMKベースにすればだいぶ安くなるが。