ついに発売されたFind X9 Ultraのスペックの話

2026-04-23

はじめに

Find X9 UltraはOPPOスマートフォンのフラッグシップモデル。

なぜか無印(Find X8, Find X9)が日本では「ハイエンド」として売られているけれど、あれは実際はOPPOのラインナップの中ではミドルハイくらいになる。 (この話は別でやったし、ややこしいので略。)

対してFind X9 Ultraは正真正銘のハイエンド。 そしてOPPOにしては珍しく、事前に予告があった。

日本でも発売されるそう…… ここは私としては激萎えポイント。

日本の「世界や中国のスマートフォン事情を全く知らない人が知ったような感じで論評する」っていうノイズが、ものすごく嫌なんだよね。 なので、中国スマートフォン事情を眺めている私の観点から実際に出てきたものを解説してみる。

リークはもちろん、事前情報ともちょっと違う部分があった。

あともちろん、OPPO商城のライブコマースは観てたよ。

カメラ

Copilotに翻訳してもらった。

📷 カメラスペック(日本語訳)

リアカメラ(後面)

  • 2億画素 広角カメラ
    f/1.5、23mm相当、7Pレンズ、AF対応、2軸OIS光学手ぶれ補正

  • 5000万画素 超広角カメラ
    f/2.0、14mm相当、6Pレンズ、AF対応、123°超広角

  • 2億画素 望遠カメラ(中望遠)
    f/2.2、70mm相当、Prism OIS+3P+3P(AF)レンズ、AF対応、2軸OIS

  • 5000万画素 超望遠カメラ
    f/3.5、230mm相当、1G3P+PRISMレンズ、AF対応、2軸OIS

  • 第2世代 丹霞カラー再現レンズ
    f/2.4、19mm相当、3Pレンズ

  • ズーム性能
    最大10倍光学ズーム
    最大120倍デジタルズーム

フロントカメラ(前面)

  • 5000万画素カメラ
    f/2.4、21mm相当、5Pレンズ、AF対応

📸 撮影モード

リアカメラ撮影モード

写真、動画、ポートレート、夜景、パノラマ、スローモーション、長時間露光、マルチシーン録画、タイムラプス、萌え撮り、XPAN、Hasselblad 超高解像、水中カメラ、マスター、AI証明写真、スーパー文字認識、スキャン、プロ動画、Hasselblad 増距

フロントカメラ撮影モード

写真、動画、ポートレート、Hasselblad 超高解像、夜景、パノラマ、マルチシーン録画、タイムラプス、萌え撮り、AI証明写真、プロ動画

🎥 動画撮影性能

リアカメラ動画

  • 8K:30fps

  • 4K:120 / 60 / 30fps

  • 1080p:120 / 60 / 30fps

  • 720p:30fps

  • 手ぶれ補正動画(EIS/OIS)

    • 4K:60 / 30fps
    • 1080p:60 / 30fps
  • スローモーション

    • 4K:120fps
    • 1080p:240 / 120fps
    • 720p:480 / 240fps
  • タイムラプス

    • 4K:30fps
    • 1080p:30fps
  • Dolby Vision HDR

    • 4K:120 / 60 / 30fps
    • 1080p:120 / 60 / 30fps
  • その他対応
    プロ動画撮影、マルチシーン録画、HDR動画、動画ズーム(最大10倍光学、最大30倍デジタル)

フロントカメラ動画

  • 4K:60 / 30fps

  • 1080p:60 / 30fps

  • 720p:30fps

  • 手ぶれ補正動画

    • 1080p:30fps
    • 720p:30fps
  • タイムラプス

    • 4K:30fps
    • 1080p:30fps
  • その他対応
    マルチシーン録画、HDR動画、動画ズーム、プロ動画撮影

ポイント

スペクトラムセンサーは進化

Find X8 Ultraにあった丹霞原彩カメラ、Find X9 Ultraからは消えているような話があったけど、実際は継承。というか進化。

「第二代丹霞色彩还原镜头」で話が「レンズ」になっているけれど、恐らく同じもの。

「24 光谱采样通道」とのことで24チャンネル進化、さらに動画でも使えるようになった。 先代は「9色」だったので言葉のレイヤーが変わっているが、これは「言葉遊びで数字を増やした」みたいなことではなく、むしろより高度なレイヤーに移行したということになる。

OPPOは最近AI偏重の傾向があり、AIを理由にハードウェアを簡略化するという見方もあったが、実際は「まずハードウェアを極める」という方向だった。

構成自体は事前情報通り

画素数 センサー 焦点距離 f値 OIS
200MP LYT-901? 23mm 1.5 2軸
200MP OV52A? 70mm 2.0 2軸
50MP JN5? 230mm 3.5 2軸
50MP JN5? 19mm 2.4

光学手ブレ補正が載っていて、光学10倍ズームを23〜230mmで実現。

光学手ブレ補正が厚く載っているのは結構大きなトピックかもしれない。

全体的にかなり明るい。画素数が増えた分を物理的な光量で稼いでいる構図。

本当の「メイン3倍」

Find X8 Ultraでは3倍をメインカメラとして打ち出してきた。 ポートレートカメラという位置づけで、商品ページでは1インチのLYT-900よりも先に解説する形だ。

だがしかし、Find X8 Ultraの3倍に使われていたセンサーはLYT-700で、はっきり言って普通。 むしろ「Ultra」を名乗るにはかなり物足りないものだった。

しかし2億画素、1/1.28インチセンサー、f/2.0のカメラとなった今、まさにメインカメラとして運用できるものとなったと言っていいだろう。

大事なポイントだが、哈苏大师套装に含まれている300mmテレコンバーターは、23mmではなく70mmのほうに装着される。

割とやってるセルフィーカメラ

21mm相当でf/2.4と明るめで、50MPでAF対応。

「とりあえず50MP」というカメラはなくもないものの、そこにAFまで載せたなかなかのガチ仕様。 ウェブカメラとして使ってもかなり強いと思われる。

センサーは恐らくJN5。大活躍だな、JN5。

動画に対するガチさ

これまでやや手薄かった動画撮影に対して、8k@30fpsをサポートし、4kは120fpsまである。

さらにはDolby Vision HDRまであり、こちらも4k@120fpsまで対応。

後述するようにTiltaのKHRONOS撮影エコシステムの存在も、その動画に対する本気度があってこそのものだと言えそう。

「支持多景录像视频拍摄」は恐らく前後カメラ同時撮影。Vlogやってる人に100%応える機能となっている。

歩留まり覚悟の5回反射

OPPO 创新实现哈苏五反射倒置潜望棱镜

事前に公開されていた5回反射プリズムのペリスコープである。

割と「技術は不可能ではないが、生産は不可能」の世界にあったもの。 実現にはActive Alignment工法の進化があったものと思われるが、常軌を逸した精度が必要になるため歩留まりはものすごいことになるだろう。

哈苏大师套装 (ハッセルブラッド・マスターキット)

以前から噂されていた限定版。 先行販売価格11999CNY。

基本的には300mmテレコンバーターと、これを装着するためのケースで構成されており、その他アクセサリが付属する。

ケースはケースでしっかりした物理シャッターつきカメラグリップになるというかなりな仕様。個人的にはこっちのほうが魅力的だが、それはテレコンバーターが大したことないとかいう話ではない。

全新哈苏超长焦增距镜头,搭载 2 群 11 组 16 片全玻璃球面镜片,并采用抗眩光镀膜及超低色散材料。从镜片到镀膜,皆为哈苏专业品质,让远方如在眼前。

11群16枚・オールガラスという狂気の構成。 300mm/F2.2という、モータースポーツを撮るのにも応える本気のレンズ。 「テレコンバーター」という概念が壊れている。

OPPO×Tilta KHRONOS

铁头 (Tiětóu=Tilta)はシネマカメラ用リグやフォーカスシステムを作っているメーカー。ハリウッド御用達。

それとのコラボで売られたシネマ向けアクセサリーキットで、Find X9 Ultraを本気のシネマカメラにするもの。

Tiltaが関わっている以上おもちゃであるわけがないが、強制冷却用ファンがついているのがそれが本気なのが伝わってくる。 リグはARCA、NATOレール、コールドシューなどプロ向けの規格をそのままマウント可能。

抖音(TikTok)、小紅書(RED)あるいは微短剧のような、制作スピードとシネマクオリティの両方が求められる中国の映像作品制作現場が求めるものに100%応えるものだと言えるだろう。

物理法則を超越したサイズと重量

电池容量 7050 mAh/26.23 Wh(典型值)
6890 mAh/25.64 Wh(额定值)
屏幕尺寸 6.82 英寸
高度 163.16mm
宽度 76.97mm
厚度 9.10mm(大地苔原)
8.65mm(极地冰川,绒砂峡谷)
重量 约 236g(大地苔原)
约 235g(极地冰川,绒砂峡谷)

7050mAhというのはハイエンド機にしてもだいぶバカげたサイズ。しかし厚みや重量はGalaxy S24 Ultra (5000mAh, 8.6mm, 232g)やiPhone 15 Pro Max (4442mAh, 8.25, 221g)と大差ない。

Find X9 Ultraはバッテリーがでかいだけではなく、巨大なカメラシステムを4つも持っている。さらにフロントカメラもだ。

バッテリーは恐らくシリコンカーボン負極電池だろうが、だとしてもどうやって詰め込んだのか謎で仕方ない。

ディスプレイも化け物

タッチサンプリングレート300Hz

音ゲー勢ですら絶対必要としないこの値。

おそらくシネマカメラとして運用する場合に必要になるマニュアルフォーカスや露出調整の操作フィーリングを極限まで高めるために採用されたと思われる。

3モード 100% DCI-P3

スマホで色調整をするのか!? と驚いてしまうが、どうやらYES。

4k 120fpsのドルビービジョンで10bit colorの映像を撮影 しても、モニターの性能が足りなければ正しく撮れているかの確認ができない。

「シネマカメラに求められるリファレンスモニター」の性能を満たす画面を持っていることが強烈にアピールされている。

おまけ要素の144Hzリフレッシュレート

ゲーミングモニターでは一般的な144Hzリフレッシュレートだが、スマホは普通120Hzまで。

Find X9 Ultraも基本は120Hzまで。 しかし

144Hz 只在部分游戏场景生效

とのことで、恐らく提携した一部タイトルでのみ144Hzを先行体験できるようなプロモーション的位置づけのものだろう。

全てのBluetoothオーディオコーデックに対応

蓝牙音频规格 SBC,AAC,LDAC,aptX,aptX HD,aptX Adaptive,LHDC 5.0

機能自体はSnapdragonに載っているが、ライセンスは別問題。

LHDC 5.0にも対応しており、Huawei派へのアピールも余念がない。

超音波式指紋認証

超声波指纹

Galaxy羨ましい要素、ついにOPPOに搭載される。

ホールセンサー (周辺機器用)

ゲーミング分野では最近よく聞くようになったホール効果磁気センサー。

これが搭載されているのは周辺機器装着の判定のため。 要は、ハッセルブラッド・マスターキットのケースやTiltaのカメラリグへのテレコン装着の検知に使うのだろう。

プロセッサもおかしい

Find X9 UltraはSnapdragon 8 Gen5の力をフルに引き出している。

CPU频率

8 核心(2 超大核+6 大核) 最高主频 4.608 GHz

今のプロセッサによくある「高性能コア+省電力コア」ではなく 「高性能コア+超高性能コア」というパワーイズパワー構成。

最高4.608GHz。モバイルのレベルじゃない。

こんなものがモバイルで回るわけがないので、「磁吸散热风扇」が必要になるわけだ。

じゃあマイレージ性能はどうするんだ? という疑問は、7050mAhという巨大バッテリーが答えてくれる。

まさにパワーイズ力。

所感

Vivoに負け続けた日々がOPPOを強くした。

私の読み解きはこうだ:

  • 多分「Vivoのほうがいい」と言われ続けたことが相当堪えてた
  • なのでVivoに絶対負けないことを確信できるものを作った
  • iPhoneだろうがGalaxyだろうが何にも負けたくないので全部最強にした
  • スマートフォンのカメラを使うすべてのユーザーにとっての最高の選択にした
  • プロのスチルカメラやプロのムービーカメラに取って代わる存在を作り上げた
  • つまりこれが「クリエイティブの中心に位置するもの」にしようとしている
  • 中国のスマートフォンを使ってクリエイティブ活動をしているすべての人に対して疑問を挟む余地のない最善の選択として突きつけている
  • コストも歩留まりも値上げもすべて承知の上
  • 「これが最強だ」という主張に納得される自信があるから世界に出していくことにした

最後にお値段

構成 X8 Ultra X9 Ultra
16GB + 512GB 6999CNY 8499CNY
16GB + 1TB + 衛星通信 7999CNY 9499CNY
哈苏大师套装 11999CNY

1500人民元アップである。 現在の為替で言うと3万円くらいの値上げ。

中国の人々はコスパにも敏感なのだけど、それでもこの値上げへの踏み切り。

しかしハードウェア構成を考えると、多分「なんとか踏みとどまってこの価格」なのだと思われる。