2025年5月現在のゲーミングPC考

2025-05-26

この記事は、人に説明するついでに記事にしてしまうことで楽をしようというものである。

ということを念頭においておいてほしい。

本記事では「ゲームもする可能性を踏まえたPCを持つ」ことを焦点にしている。 具体的なゲームタイトルは固定ではないが、一応少なくとも鳴潮、ストリートファイター6、BallisticNG、Muse Dashはできるくらいを最低ラインとして想定している。

また、デスクトップユースとしてLinuxを使うことを想定している。 これは、その人がLinuxを使うかどうかの点を踏まえているのではなく、私はWindowsをデスクトップ用途で使うことがないため分からないからである。 まぁもちろん、Linuxを使ったほうが良いに決まっている。

一般的PC環境とゲーミングPC

PCの性能は相当上がっており、単にPCとして使う場合を想定すると、そんなに高いものを買わなければならない理由はなく、重視したいポイントに合わせて相当柔軟に選択できる。

ゲームはPC性能をかなり要求する部分である。 パーツで言うとそれなりに高性能なCPUと、非常に高性能なビデオカードを必要とする。 そして非常に高性能は非常に多くの電力を使うことから、多岐にわたって高性能/高品位のものを必要とする。

PCの基本性能の中核をなすのがCPUだが、現代の一般用途では大部分がウェブテクノロジーになっている。 このウェブが極端に重くなってしまっていることから「普通の用途で最低限必要な性能」のラインは非常に高くなっている。 ただし、ウェブテクノロジーの性質上、高価なハイグレードのCPUによって得られる体感上の性能向上はほとんどなく、「グレードが高い」よりも「世代の新しいハードウェア」のほうが重要度は高い。 ただし、ゲーム用途ではこの限りではない。

ゲームはとても、とてもきつい

ゲームがPCの用途の中で性能を要求するものであることは古今問わず変わらないのだけど、最近のゲームの要求はやばい。 ゲームの要求性能はゲームのクオリティ向上に伴って上がりつづけているわけだが、この度合いが引き上げられている。

まず、7, 8年くらい前で言えばミドルクラスというのはだいたいのゲームが快適にプレイできて、ハイエンドクラスは今後数年に出てくるゲームを高画質でプレイできて、エントリークラスであれば特別重いゲームでなければプレイ自体はできる、くらいの感じであった。

それが今やミドルクラスでも動作が怪しいことすらあり、快適に動作させるならハイエンドクラスはマスト。 エントリークラスはゲームするためのものとしてはほとんど成立していない。 最新の美麗グラフィックのゲームの最高画質は、ハイエンドですら無理ということも珍しくない。

そしてなおかつ、ミドルクラスの定義自体が上がってきて価格もだいぶ上がっている。

このことから、将来的に出るゲームも含めてまず間違いなくしっかり楽しめるだろう、みたいな潰しの効く感じを求めると、もう本当のハイエンドしかない。そうすると60万円くらいかかる。あと、扱いもちょっとめんどくさい。

AA, AN, IN

基本的には、CPUはIntel製かAMD製、ビデオカードはNvidia製かAMD製からの選択。

私の手持ちで今性能がちゃんと出ているPCはAMD/AMD(AAまたはRR)構成しかないのだけど、ごく稀に問題が生じることがある。

具体的にはADOFAI(A Dance Of Fire And Ice)が、Ryzen5 5600X/Radeon RX5700XT, Ryzen9 5950X/Radeon RX7900XTX, Ryzen7 5700Uのいずれでもまともに動作しない。 画面が動くタイミングで著しく判定タイミングがばらつくため、音ゲーとしてプレイすることは不可能となっている。

ストリートファイター6もやたらラグいと感じることが多く、もしかしたらRRであることが理由なのかもしれない。 こちらは考えられる理由が多いため、RRであることは関係ないかもしれないが。

また、原神においても入力が反映されないことがかなり多く、ラグい。 こちらも、RR環境ではなくインターネット環境のせいである可能性もある。

なので私はRRを選ぶのだけど、確実性を考えるとAMD+Nvidiaか、Intel+Nvidiaが良い気がする。 安定を取ればIntel+Nvidiaなのだろうけど、最近のIntel自体に安定と言えない要素もあり、CPUではゲームではAMDという人も増えていることから、AMD+Nvidiaはいけそう。

私がRR構成を好む理由は主に2つ。 Linux環境ではNvidiaは結構問題が起きがちで安定しないこと。 もうひとつはGeForceでプレイを録画したりするにはNvidiaのアカウントにログインする必要があり、それが非常に嫌であること。

電気、熱

PCは電気によって動き、なおかつ電力が性能に直結している。 そして、PCの部品は電力のほとんどを熱に変換する。

PCの消費電力はざっくり100〜1000Wくらいで、つまりそれと同じくらいの出力の電気ヒーターと同じくらいの熱を発する。

しかしPCの部品が特別熱に強いわけではないため、冷却する必要がある。 この冷却とはつまり、(普通は)排熱である。

この都合上、熱に弱く冷やしにくい狭い空間は性能を発揮できない理由になる。 ラップトップのような小型筐体で性能を伸ばせないだけでなく、同じハードウェア構成でも性能を出せない理由にもなる。

また、デスクトップPCでもより容量が大きく排熱性に優れたケースを使うだけでも性能を伸ばせる場合もなくはない。

ミニPC/ラップトップ

ゲームも「できなくはない」程度のミニPC

ミニPCは手のひらサイズ、モニター裏につけられるような小型PC。

必ずしもそうというわけではないが、基本的には高性能ラップトップ向けのプロセッサ(一般的なラップトップ向けプロセッサよりも消費電力の多いもの)を採用する。 内部はラップトップよりは広いため、ゲーミングラップトップよりも性能は高め。

AMDプロセッサは特に上位のラップトッププロセッサのグラフィック性能が高く、プロセッサ単体で日常的な取り回しの良さとゲーム用途を両立させられるようなものになっている。 さらにグラフィックス性能の高いAIプロセッサもあり、こちらはゲームへの期待度はより高い。

基本的にはMINISFORUMが有力な選択肢であると思われる。 中国製の製品が色々存在するが、主に排熱に関する設計の良さにかなり左右される部分があり、信頼できるメーカーのものを選びたい。

また、性能に特化していないミニPCはディスプレイとの間でDB対応のUSB Type-Cポートとケーブル1本で使えたりするが、ゲームができるようなものは専用に電源が必要。それどころか100Wでも足りないため、USBで駆動するのはUSB PD EPRが必要になったりする。

具体例としてはMinisforum AI X1 ProはRyzen AI 9 HX 370プロセッサを搭載しており、プロセッサ内蔵のビデオカードとしては最高クラスの逸品となっている。 一般的なだいたいの用途において充実の性能/機能を誇っている。 一方、135Wの電源を使うため、USB PDでは性能を発揮しきれない可能性がある。少なくとも公式ではUSB PDで動作しないとしている。

このミニPCは、様々な人が出してるデータをみる限りでは、多くのゲームでフルHD解像度において低〜中程度のグラフィック設定で動作させることができるようだ。 ただ、美麗なグラフィックを堪能することはできず、低設定でも「ギリ遊べる」程度にとどまる場合もある。

なので、あくまで「ゲームもちょっとできる」程度の話で、ゲームを快適にできる、あるいは存分に楽しめるといったものではない。ゲームが目的にはかなり厳しい。

一方、高性能PCは消費電力と熱に悩まされやすく、冷却に関わる問題やトラブルにも悩まされることも少なくない。筐体も大きく重量もあるため、動かすのも難しく、運搬時は非常に気を遣う。 こういった面で省電力性が高く、小さく、軽いというミニPCのメリットは取り回し面、日常使いでは非常に便利。 ゲームに対するクオリティやプレイ体感を本当に気にしないのであれば、「これくらいの性能があればゲームも動かせるよね」くらいの感覚で使える。

ゲーミングラップトップはマニアックなデバイス

一方でゲーミングラップトップはもっと厳しい。 ミニPCよりも熱的に余裕がないゲーミングラップトップはさらに性能が出ない。 このため、ゲーム用途はより厳しい。

しかし、ゲーミングラップトップの上位モデルは別途ビデオカードを搭載していることが多く、これはコストがかかっていることや、物理的にCPUから離せることで熱的に有利であることなど、様々な理由から明確な性能向上が見込める。 このため、こうしたモデルを前提とするのであればミニPCよりもゲーム性能は高いと言える。 これは、ゲームがある程度普通にプレイできるようになる程度の向上である。

だが、取り回しの良いミニPCと違って、ゲーミングラップトップを「ラップトップが欲しい人」が買うとかなり後悔することになる。

消費電力が大きいことによるマイレージ性能の低さ、発熱、そして大きさや重さといった要素は、ラップトップとしての魅力に非常に大きな影響を及ぼす。 ゲーミングラップトップは「ゲームができるラップトップ」ではなく「ゲームのためのラップトップ」であり、運用も全く違う。

まずバッテリー運用はあってないようなものなので「運搬しやすいゲーミングPC」のようなものである。 運搬しやすさはなんならミニPCのほうが上であったりもするが、出先でディスプレイが確保できないことは普通にあると思われるため、一式の環境としてはゲーミングラップトップのほうが運びやすい。

ゲーミングラップトップのキーボードでプレイするのは熱的にまあまあ厳しい。 ゲームにおいては操作性も無視できないため、結局ゲームで使うデバイスは別途用意、持ち運ぶことになる。

このことから結局のところ、「外でゲームする」という必要がある人、例えばプロゲーマーやストリーマー、あるいは絶対に毎日プレイせずにはいられないソシャゲ廃人などが必要とするものであり、ゲーム環境を作りたいという人にはあまり向いていない。 そういうマニアックなデバイスであるからこそ、実際に販売されている製品は割と少なく、毎年更新されるわけでもない。

具体的におすすめするなら

「本当に最低限が欲しい」ということであれば、ミドルクラスのCPU(Intel Core Ultra 5 235やAMD Ryzen 5 9600)と、GeForce 4060Tiを搭載するPCが20万円あたり。

ターゲットはフルHDになり、Windowsの場合ディスプレイのネイティブ解像度以外でゲームをプレイすることは難しい場合もあるため、フルHDのゲーミングディスプレイと組み合わせると良い。 個人的にはAopenのFire Legendシリーズが使い勝手と性能の面で結構良いと感じている。また、24インチもしくは27インチクラスの湾曲ディスプレイがおすすめ。

「つぶしの効くPCが欲しい」と言われると本当に最上級のものしかない。 今後出るゲームも含めて最高設定でプレイできたり、美麗グラフィックのゲームのグラフィックを完全に堪能できることを求めるともはや本当のハイエンドが必要になる。 例えばこういうやつであり、100万円以下クラスになってくる。 ここにグラフィックをフル堪能するための4k有機ELディスプレイとかが乗ってくる。

この中間はもうターゲットを明確にしてその基準を満たす選択をするしかなくて、個別の話を詰めるしかない。 もしこの記事を呼んでいる私の知り合いではない人がこの選択に困る場合は、ゲームに強いショップで具体的なポイントを伝えて(例えば「鳴潮を4k最高画質でプレイしたい」みたいな)選定してもらうのが良い。

ちなみに、私はいつもパソコンショップアークにお世話になっている。 非常に難解な質問1にも良い答をくれるため非常に助かっている。

私がもし今新規に組むなら、Ryzen 9 9950X + Radeon RX 9070XTにするけど、これはLinuxデスクトップを触っている時間が圧倒的に長いこと、マルチディスプレイであること、ゲームに対してそんなに熱心ではないこと、CPU負荷が強烈に高い作業をする機会が多いことを前提としているから、あんまり参考にならないと思う。


  1. 「Linuxで1回につき2ヶ月ぐらいCPUフル負荷で連続稼働させるんです、マザーボードどれを選ぶといいですか」みたいな↩︎