Firefoxがツラくなってきたので代替を考える

2025-03-05

Firefoxが使用にあたって利用規約への同意を要求するというのが話題になったりしたのだけど、それに限らずちょっと最近のFirefoxは嫌になることが多い。

例えば、翻訳機能をデフォルト有効で追加して、ページに対して(設定言語を無視して)翻訳ダイアログを出してきたり、アカウント同期を無効にしてツールバーから削除していたのに、新しいアカウント同期アイコンをツールバーに追加してきたり。

Mozillaがユーザーをないがしろにした振る舞いをするのはこれまで何度もあったことで、歴史は繰り返す、というものではあるのだけど、ユーザーの選択や自由意志を尊重しないのはかなり危険な兆候。 これはGoogleやMicrosoftの例を見ても明らかで、このような振る舞いを始めると歯止めが効かず、ユーザーを欺くことにためらいがなくなっていく。

このことから、Firefoxを使い続けていくことに私はかなり不安を感じている。

そこで代替を考える。今回の場合、Firefoxのレンダリングエンジンの根幹部分やブラアザコアの問題ではなく、あくまでFirefoxの設定と運用の問題なので、Firefox互換のウェブブラウザを使うことが選択肢になる。

現状においてわざわざFirefoxを使っているのは、Googleの支配/影響に対する懸念があるものと考えられるため、Chromium系列のブラウザに限らず、WebEngineを使うものも選択し得ないという前提に立つ。

候補

Waterfox

WaterfoxはFirefoxのforkの中でもFirefoxに対する忠実度が高く、大きな体制で運営されているものである。

当初は64bit版をアピールしていたが、現在はNPAPIのサポートを継続していることが所有な特徴となっている。

テレメトリの削除などは行っているが、基本的なポリシーがそれほどユーザー尊重に寄ってはいない。 どちらかといえば、Waterfox自身のポリシーに忠実であることを重視しているようだ。

「運営元が異なる」という点だけを重視するならば良い選択肢だが、将来的に同じような問題を抱える可能性はそれなりにある。

Linuxの場合、バイナリtarがある。

Palemoon

Palemoonは今回紹介する中では最も厳しい移行先である。

もともとFirefoxをベースにしていたが、現在は独自レンダリングエンジンのGoannaを採用している。

2016年にFirefoxと枝分かれしてからかなり大きな差異が生じており、Firefoxとの互換性はかなり低い。 もちろん、レンダリングエンジンの違いによりうまく動作しないこともあるし、プロファイルそのものにはある程度互換性があるが、拡張機能に互換性がなく、完全に「乗り換え」が必要となる。

Librewolf

Librewolfはプライバシーとセキュリティ重視を掲げたFirefoxベースのウェブブラウザ。

テレメトリのほか、外部サービスを使うような機能も削除、あるいはデフォルトで無効となっている。

プライバシー評価が高く、Firefoxへの追従度も高い。 今回試した中では移行先として最もおすすめできると感じた。

Linux向けにはAppImageが提供されている。 ArchlinuxではAURからのインストールが推奨されているので、アップデート等はそっちのほうがいいのかもしれない。

なお、Librewolfにプロファイルをコピーした場合、もとのFirefoxの設定に関係なく “Ask to save passwords” がオフに、 “Delete cookies and site data when LibreWolf is closed” がオンになるので要注意。

Floorp

Floorpは結構新し目のFirefoxベースのウェブブラウザ。

触った感じ、機能的にはかなりVivaldiに似せている感じがした。 Vivaldiユーザーとしては使いやすいと思うが、Vivaldiほど利便性の高い機能が充実しているわけではない。

中身はFirefoxのESRベース。

日本の学生コミュニティベースということもあって、色々な面で不透明。 ただ、かなり面白い存在ではあると思う。

ESRを使っている関係上、Firefoxで使っているプロファイルのほうが新しいバージョンになってしまうため、プロファイルを複製した場合は-allow-downgradeオプションが必要になるかもしれない。

Epiphany

Firefoxにこだわらないのならば、もうひとつの選択肢としてWebKitのウェブブラウザを使うという道がある。

Linuxで使えるWebKit(基本的にはWebKit Gtk)はSafariのものと比べてかなり遅れているため、Safariで動作するからといってWebKitで動作するとは限らない。

だが、Google (Chromium)もMozilla (Firefox)も信用できないのであれば、残る選択肢の中で最も無難である。 Palemoonよりも、だ。

ただ、LinuxのWebKitウェブブラウザにあまり有力な選択肢はない。 かつてはMidoriがあったが、Midoriはバージョン10で大幅に変更され、機能の多くを失い、WebEngineベースとなった。 現在は非公式な情報としてFloorpベースとなっている。

ほかでいうとSurf(netsurfとは別物)などもあるが、ブラウザとしての機能で見た場合、それなりに充実しているのはGNOMEコンポーネントであるEpiphany。

ただ実際のところEpiphanyへの移行は、結構厳しい選択ではある。