序
私は理想的なディスプレイ環境は32インチ4kと24インチFHDという話をしている。
これは実際に
- 書斎 - 32in UWQHD, 27in 4k, 27in 4k, 24in FHD
- リビング - 42in 4k
- 寝室 - 32in 4k, 24in FHD
という構成で使った上で、寝室の構成がベストだとしているし、そもそもこれらのディスプレイをどう組み合わせるかというのは色々試した上で、寝室の状態は越えられないと判断しているものだ。
また、おそらく実用上は8kは意味がないと考えている。
だが、理想的なディスプレイというのは、液晶においては難しい。 リフレッシュレートと残像、色、コントラストなどすべてを満たすことができず、IPSが良いかVAが良いかも不毛な議論になってしまう。
だが、有機ELであれば、これらの議論を本当に不毛なものにしてしまうほど良い結果が得られる。 問題は高価であること、製品が少ないこと、消費電力が大きいことだ。
従来、そもそも4kの有機ELディスプレイ自体が少なく、32インチクラスでラインナップされていたのはASUSのProArtディスプレイが唯一であった。 こちらは45万円ほどと非常に高価であり、また75Hzでハイリフレッシュレートという要求には応えないものだった。
だが、ここにきてついに3つの32インチクラスの究極のディスプレイが当時用してきた。
- MSI MPG 321URX QD-OLED
- DELL ALIENWARE AW3225QF
- LG UltraGear 32GS95UE-B
である。
これらはいずれも31.5インチのパネル(Dellは31.6インチと表記)、0.03msの応答速度、240Hzのリフレッシュレートを持つ。 MSIとDELLのものはQD-OLED(量子有機EL)の表示がある。
いずれもそれぞれに強みがあるが、ここでDELLのものの話をする理由が3つある。
まず1つ目が、唯一の曲面ディスプレイであることだ。 1700Rとかなりゆるやかだが、32インチディスプレイはやや大きいため曲面であることが望ましいため、これは結構な利点だと思う。 その代わり、DELLの曲面ディスプレイやALIENWAREではおなじみだが、ものすごく厚みがある。
2つ目が、価格。 LGは23万円、MSIは20万円とかなり高価なのに対し、DELLは16万円と有機ELディスプレイとしては結構安い。
3つ目がALIENWAREであることだ。 DELLはもともとディスプレイの保証が手厚いのだが、ALIENWAREはさらに手厚い保証がつく。 良品先出し交換サービス、プレミアムパネル交換、OLED焼付き保証だ。 プレミアムパネル交換は、輝点0、暗点≦5という非常に厳しいかなりハイレベルな保証である。
その他を含めた着目点は以下
- MSIはハーフグレア、LGとDELLはノングレア
- MSIは2USBのKVMスイッチ内蔵
- MSIは焼き付きを防ぐMSI OLED CARE 2.0を内蔵し3年保証、LGも類似のパネル保護機能搭載。DELLは記載はないが、ピクセル/パネルリフレッシュだけはある
- DELLとMSIはDCI-P3 99%の色域、LGはDCI-P3 98.5%の色域を公称
- LGは24インチFHD表示, 27インチFHD表示モードを持ち、FHD@480Hzにも対応
- LGはAMD FreeSync対応、Nvidia G-SyncはCompatible。DELLはG-Sync CompatibleでFreeSync非対応。MSIはどちらも非対応。いずれもVESA Adaptive Syncには対応 ※後述のVESAとAMDの関係も参照のこと
注目ポイント
さて、すでに駆け足に紹介してしまったが、ひとつずつ着目していこう。
ディスプレイは31.6インチの1700R曲面、量子ドットOLED、4k、ノングレアのパネルである。 PCI-P3 99%の色域を持ち、VESA VisplayHDR True Black 400の認証を受けている。 公称コントラスト比は100万:1。DPIは140。
10bit colorに対応し、10億6433万色の表示ができる。
VESA Adaptive Syncに対応し、最大240Hzでの表示が可能。 応答速度はGtGで0.03ms。 ちなみに、VESA Adaptive SyncはAMDが開発したFreeSyncをVESA側で規格化したもの。対抗するNvidia G-SYNCとの違いは、G-SYNCがビデオカード側で制御し、ディスプレイがこれに従って駆動されるものであるのに対して、FreeSyncは伝送プロトコルによって実現しているということ。 Nvidia G-SYNC Compatibleは技術的にはFreeSyncに等しく、単純にNvidiaの認証制度である。AMD側もFreeSync/FreeSync Premium/FreeSync Premium Proと3種類あるが、技術的にはFreeSync=Adaptive Syncであり、AMDによる認証プログラムに過ぎない。
Nvidia G-SYNC/G-SYNC ULTIMATEは専用ハードウェアを要求するものであり、本ディスプレイは対応していない。
仕様は簡単に言えば、「全てが入っていて、全てが最高水準である」と言える。 まさに「究極のディスプレイ」という表現が合うだろう。
OLEDのピクセルリフレッシュ/パネルリフレッシュ機能があり、標準では自動的に実行される。
6kgと、意外と軽い。 最近の同サイズのディスプレイとしては標準的。
OLEDディスプレイは液晶ディスプレイとは比べ物にならないほど高いコントラスト比と鮮明なピクセルを実現できる。 IPSとVAのメリット比較が無意味になるほど圧倒的な性能を持つ。 また、高リフレッシュレートディスプレイで悩まされる残像問題も発生しづらく、高リフレッシュレートや可変フレームレートを余すことなく活用できる。 このため、液晶ディスプレイと比べて高リフレッシュレートの価値も高い。
16万円という価格は、アーティスト向けの超高級ディスプレイを別にすればかなり高価なものであると言える。 ディスプレイはある種の消耗品であるため、なかなか勇気が必要だろうが、その価値はあるのではないか。
で、お前は買うのか
当面買わない。 理由は簡単で、最近S3422DWGを買ったからだ。
スペース的に考えても、S3422DWGと32インチのディスプレイは共存させようがなく、またS3422DWGを他の場所に置く余地もない。
S2817Qは1台がダメージを受けているので外しても良いし、1台外すとスペース的には32インチディスプレイを設置しても良い感じにはなるのだが、S2817QとAW3225QFを置き換えることはさすがに色々な面でできないし、結局S3422DWGの行き場がないので導入は難しい。
さらに現状の作業環境としては34インチUWQHDのほうが(ピクセルサイズが大きくて高さがないので)便利というのもあって、置き換えづらい。 映像を見ているときやゲーム時は当然4kのほうがいいので、本当に場合によるし、それが結局寝室といったいきたりの理由にもなっているけれど、
まぁ、ちょっと思うのは、ワークルームと寝室の2環境作るよりは、ワークルームに2つのデスクと2環境のほうがいいんじゃないのかということだけれど、そのような組み直しは現実的ではないし、結局利便性を損ないそうなので予定はない。