OPPO Find X6 Pro レビュー!

2023-05-22

おことわり

今回はかなりサイズの大きい画像が多いため、画像をAVIFに変換した。 古めの環境だったりすると、画像が見られないかもしれない。

画像はフルサイズの画像が貼られているので、右クリックから画像を開くなどすれば大きく見られるはず。

私はR17 Pro以来のOPPOのファンだ。 OPPOのスマートフォンはあまりにも使いやすく、もはやOPPO以外を使う気にはなれない。

いかにしてOPPOに惚れ込んだかはChienomiの記事にある。

まず、中国、そしてグローバルのOPPOの話をしよう。

OPPOのモデルは3ラインあり、

  • ハイスペックで先進的な Find シリーズ
  • 若者向けの Reno シリーズ
  • エントリーモデルの A シリーズ

となっている。 さらに、Findは一般的なXシリーズのほかに、フリップモデルのNシリーズもある。 現状、OPPOのフラッグシップモデルはFind Nシリーズということになる。

現行のRenoシリーズはReno 9, Reno 9 Pro, Reno 9 Pro+の3グレード、Find XシリーズはFind X6, Find X6 Proの2グレードで展開される。 Reno9は2499CNYと安く、ミドルクラスといった感じ。Reno 9 Pro+は3999CNYで安くはないけれど、Snapdragon 8 Gen1を搭載するハイエンドスペックであるためかなりお買い得感がある。

Find X6のほうは、無印が4499CNY〜4999CNY, Proモデルが5999CNY〜6999CNYとハイエンドらしい価格設定。

ただ、Reno 9シリーズ、Find X6シリーズともにグローバル市場には投入されていない。

一方、日本ではどうだろうか。

日本ではハイエンドモデルはFind X3 Proが置かれている。 無印モデルが投入されていないというのもあるが、グローバル版のあったFind X5 Proも導入されていない。

その下がReno Aシリーズだ。 Reno 5A, Reno 7Aと出ているが、Reno 5やReno 7とはかなり違う。

項目 Reno 7 5G Reno 7
サイズ 6.43 6.43
SoC MT6877 Snapdragon 680
ROM 8 8
RAM 128/256 128/256
メインカメラ 64MP 64MP
自撮りカメラ 32MP 32MP
ビデオ撮影 4k/30fps, FHD/120fps FHD/30fps
ディスプレイ 1080x2400 90Hz AMOLED 1080x2400 90Hz AMOLED
充電 SuperVOOC 65W SuperVOOC 33W

グレード的には同じようなものだと言えるが、商品の魅力という点ではReno 7と比べてReno 7Aはかなり下がっている。 実際、4万円程度という価格設定を含めてReno 7Aはかなりの微妙端末という評価を受けている。

エントリーモデルという扱いのAシリーズも、実は日本仕様は独自のものになっていて、こちらは性能は本家よりかなり低い。 その代わりにローカライゼーションがなされていて、見た目も少し違う。

いずれにせよ、もともとRenoの本家モデルが投入されていないために、Reno Aceのような高性能Renoがなく、割と魅力の薄いモデル展開になっている。 Reno以前はR17 Proがあったため、かなり選び甲斐もあったし、Reno AはほとんどR17 Proと同等であり、そこにハイエンドのFind X2 Proが乗った形で悪くなかったのだが、日本でのOPPOは商品力がだんだん低下しており、ハイエンドもFind X3 Proが最後となっている。

最新モデルはグローバル版も出していないことから、OPPOは主戦場を本国に置こうとしている印象だ。 OnePlus11はグローバル版も出たが、OnePlusをどうしていくのかもはっきりしない。 Realmeは本国とインドやインドネシアなどでやっていこうとしている印象がある。

さて、そうした事情もあるが、日本で見れば「OPPOは日本市場から撤退しようとしているのかもしれない」という印象であり、法的な問題もあって日本で入手できるスマートフォンの選択肢は相当に狭い。 様々なメーカーが参入して日本でもスマートフォンが選ぶ余地が出てきた時期もあったが、最近は撤退も相次いで日本で売られている端末は少ない選択肢から消去法で選ぶ時代に逆戻りしている。

だが、Find X6 Proはかなり魅力的な選択肢だ。

初代Find Xはポップアップカメラで話題を集めた。 2018年はiPhoneがセルフィーカメラのためにノッチを採用した時期で、画面占有率を上げた結果セルフィーカメラをどこに置くのかという問題が発生した。 そこで、OPPOは新しいフラッグシップモデルであるFind Xに「カメラを本体に内蔵し、使うときだけポップアップする」というトンデモ機構を採用した。

つまり、Find Xは基本的に「イロモノ端末」だったわけだが、後継モデルのFind X2 Proは正統派なハイエンドモデルになった。 「夜景をキレイに撮れる」というのをウリにしていたOPPOはセンサーに48MpxのIMX689(1/1.4)を採用。高額になったSnapdragon 865を搭載し、12GB/512GBという大容量メモリと、妥協なき「最高性能」を見せつけた。 その代わり、14万円というかなり高額なモデルになってしまったが、日本ではau専売となった代わりに10万円を切る価格で販売された。

しかし、Find X3 ProはFind XやFind X2 Proのような驚きはない端末だった。 Find X2 Proから全体的に性能を向上させてブラッシュアップした……のは理解できるが、つまりそういうモデルである。

Find X5 Proはさらに驚きが少なかった。光学機器メーカーであるハッセルブラッドとのコラボレーションが実現し、独自のイメージプロセッサのMariSiliconを搭載するなどカメラに対するアップグレードがホットなトピックスだったが、いまひとつその実力が発揮できていないというか、「X3から買い換えるほどは変わっていない」というような評価だった。

もうスマートフォンとして完成の域にあり、アップデートしていくしかやることがない――かのように見えるが、そんなことはない。 特に中国ではスマートフォンのカメラの競争が過熱しており、とうとう1インチセンサーのIMX989を搭載するところまで到達していた。 iPhoneが強い日本では、iPhoneが前時代的なハードウェア構成であることもあって存在感がないが、AQUOS R7がIMX989を搭載する。しかし、これは中国では「やって当然」のところまで来ているのだ。

すでに2022年にはその状況だったから、Find X5 Proのハードウェア構成というのはかなり保守的であると理解された。 他の中国のハイエンドスマートフォンは驚くような機能を搭載していることが多く、Find X5 Proは「古臭い端末」とみなされた。

私からしても、Find X3 Pro, Find X5 ProはFind X2 Proに対してはキープコンセプトであり、正直あまり惹かれなかった。欲しいなという気持ちはなくはないけれど、Find X2 Proがまだ動いているのなら「欲しいな」だけで済ませるようなものだったのだ。 正直、スマートフォンをあまりつかっていないので、なんならもうスマートフォンは買わなくていいのではないかとすら思った。

だが、OPPOはFind X6 Proで逆襲に出た。 メインセンサーは最新のセオリー通り、1インチのIMX989を搭載する。さらに、望遠と超広角には他のスマートフォンなら目玉のメインセンサーに採用されるレベルのIMX890をそれぞれ搭載。IMX989+IMX890+IMX890という、センサーで見れば他を引き離す圧倒的構成に仕上げた。

カメラをセンターにでかでかと置き、もはやビジュアルが完全にカメラというのも最新のセオリーだ。 これにハッセルブラッドのレンズと、独自開発のイメージプロセッサを組み合わせ、比類なき「最強」を手に入れた。

基本的にFind X6 Proでホットなトピックスはこれだけで、メモリは16GB/512GBを最高峰とするため、Find X3 Proから変わっていない。SoCにSnapdragon 8 Gen2を搭載するのは順当なアップデートだ。 だが、目立つ要素は少ないにせよ、X3からX5になったときよりもずっと色々と力を入れてアップデートした様子はうかがえる。

明確な進化を感じられるとなると、とても欲しくなった。 どのみち中国版以外は出さない予定であるようなので、覚悟を決めて購入に至った。

購入

今回、端末は野木亜堂本店にて購入した。

野木亜堂本店はさまざまな海外スマートフォンを扱っているショップで、日本国内にもあるようだが、基本的に香港オフィスがメイン。スマートフォンを買うと香港オフィスから送られてくる。 送料・税金(関税)込で売られており、割と安いが、ラインナップはやや限定的。

注意点として、野木亜堂は初期不良チェックをしてから送ってくるため、未開封ではなく開封済み新品として送られてくる。 初期不良で中国に送り返す苦労がないのはいいが、新品でないといやな人には向かない。 また、野木亜堂のほうで1年間の保証をつけてくれる。修理もやっているショップなので安心感が高い。

私は土曜日の日中に注文した。 1〜3日以内発送とあったが、これは1〜3営業日のことであるようだ。 月曜日に注文受諾のメールがあり、夕方に発送にメールがきた。結果的には3日以内に発送された。

配送はFedexで、水曜日のお昼に到着。めちゃくちゃ速い。日本国内でスマートフォンを通販してもこれよりかかることもあるかもしれない。 日本では日本郵便が届けてくれる。関税込なので、関税支払いはない。

パッキングは化粧箱をエアクッションと袋で包んでダンボール箱に入れたものになっていた。 ダンボール箱の中にマルチコンセント変換アダプタが付属している。とても助かる。 なお、変圧器ではないため、家電とかには使えない。

キレイにパッキングし直され、フィルムもかけ直されているため、開封済み感はあまりないが、本体を包むトレーシングペーパーは両面テープで貼り直されているからはがすのはちょっと大変。

同時にAliExpressでアクセサリー(ハイドロゲルフィルムとケース)を購入したが、こちらは5/29予定と7/10予定が統合され、7/12予定となり、実際は空輸便で5/21に到着した。かなり早い。

ケースは日本で一般的に購入できるものより品質が高いと感じた。このあたり、中国ではスマートフォンをより重要なアイテムだとみなす傾向が強いのではないだろうか。

Find X6 Proのスマートフォンケースはカメラ部分を(レンズ等は避けて)覆うようになっているものが結構ある。 これはスマートフォンを表向きでおいた場合にレンズが触れなくなるほか、指の置き場も少し楽になり、かなり体験が向上する。

ハイドロゲルフィルムも非常に安価でありながら、品質は悪くない。日本の家電量販店で手に入るものは、エッジディスプレイではまるで使えないにも関わらずなかなか高価なものが多いので、それよりはずっと良い。

ただ、文化的な違いなのか、少なくとも以前はそんなことはなかったはずだが、フィルムを購入すると本当にフィルムだけの商品になっている。つまり、箱などはなく、発泡スチロールではさんでいたりするが、それすらなく本当に袋に入ってるだけで届いたものもあった。

マットタイプのハイドロゲルフィルムは装着することでノングレアになるが、滑りがよくなく、全体的に白っぽい画面になるのでいまいちだった。

外観

私が購入したのは最強の16GB/512GBモデルの緑1である。

Find X6 Pro

Find X6 Proは3色展開で、黒と緑はガラス、茶色はフェイクレザーになっている。 Find X2 Proもオレンジのフェイクレザー仕様があったが、Find X3 Proはガラスボディのみ(白と黒で非素材は違う)、Find X5 Proはセラミックとガラスだった。X6でフェイクレザー仕様復活で、レトロカメラっぽい外観なのでなかなか惹かれるのだが、フェイクレザーは耐久性が気になるので外した。 比較するとガラス仕様のほうが少し重い。ただ、サイズの違いはないのか、Find X2 Proと違いケースは色ごとに分かれてはいない。

Find X6 Proの緑は緑なのか青なのか、写真によってかなり違うためどんな色なのかドキドキしたか、シンプルに言えば「ターコイズ」である。なので青緑であり、青か緑かどちらだと言われると難しい。青でもあり、緑でもある。 ミントグリーンほどクセは強くないが、特徴的な色ではある。

素材はガラスなのだけど、そのビジュアルはなんとも表現し難い。メタルっぽいけどメタルじゃない、ガラスっぽくないけどガラス、そんな感じ。

巨大なカメラはやはり相当インパクトがある。持っていても横向きだとかなり触ってしまうし、横向きでスタンドに乗せるときはレンズが傷つかないように細心の注意を払ったほうが良い。

付属のカバーは、今までの透明プラではなく、本体カラーに合わせたものになっているが、ものすごく安っぽいプラである。 使いたい人はもっとかっこいいカバーをAliExpressで買ったほうがよさそう。 表面はフェイクレザーっぽい質感。

サイズはFind X2 Pro比だと、少し幅と厚みが増加しており、持った感触では大きくなった。 幅が増えたのは、Find X2 Proは端がかなり強く折られたエッジディスプレイだったのが、もうすこしマイルドな形になったため。これでディスプレイはかなり見やすくなった。

Find X2 Proも過剰に大きい端末だが、X2 Proのほうがまだ手に馴染む。 ボディはさらさらなので、X2以上に落としそう。重量はほとんど同じだが、もともと重量級であり、体感はFind X6 Proのほうが重い。

スピーカーは下部が右より、上部が左よりについている。音ゲーをしているとふさぎがち。

ボタンの感触はとても良好。

ディスプレイは2500ニトと非常に明るいが、日光に負けないというだけで、爆光というレベルではなく、実用的な範囲に収まっている。

購入したケース

お高めのスマートフォンであるためか、AliExpressで売られているケースもお高めのものが割とある。 アラミド繊維のものは滑りにくく、薄く感じる。 バンパー構造のものはかなり大きく感じるが、保護性能に優れ、PopSocketsも貼りやすい。

どちらもなかなか優れたビジュアルだ。

中国仕様

端末は中国仕様なので、中国向けにローカライゼーションされており、半鎖国状態の中国インターネット用のアプリが結構入っている。

といっても、20個いかないくらいなので、DocoMoと比べれば非常にやさしいし、これらのアプリは(OPPOのものを含めて)アンインストール可能だ。 なお、普通っぽい「音楽」と「Videos」は中国マーケット向けのアプリである。 また、「海外旅行」というアプリは部分的に日本語化されているが、翻訳先言語は中国語固定である。

ColorOS自体は日本語に対応しているため、そこまで困る要素はない。 ただ、Google Playと日本語入力がないため、初期状態で使うのはかなり難しい。

Google PlayはAPKから入れるしかないが、OPPOが用意するMarket Appがいい感じに扱ってくれるため、信頼できるAPKを用意することだけがハードル。 Googleの力があまり及んでいないせいか、日本で正規で買うような端末と比べて全体的に自由度が高く、なにかを強制される感じが非常に少なくて良い。

Google Playをインストールしたら、次にやるべきは日本語入力のインストール。 私はATOKを持っているのでインストールしたが、普通はGboardを検索するといいだろう。 デフォルトのIMEはSogou Input Method Customized Versionで、こちらは英語入力に切り替えるとワンタッチでQWERTYにでき、英語入力は難しくない。Baidu IME Customized Versionも入っている。 私は、いつか中国語を読み書きできる日が来るかもしれないので、残してある。

FirefoxはMarket Appにもあるため、アップデートを奪い合ってしまう。ただ、Market Appでignoreすることは可能なので、それでいいだろう。 Market Appはアップデート時にフォアグラウンドにしていないと止まってしまう模様。かなりダウンロード速度も遅い。

ただ、Market Appは残しておいたほうが無難だと感じた。 OPPOのシステムアプリがMarket Appにしかないものがあるし、ひょっとしたら本体アップデートもできなくなるかもしれない。

システムアプリ, プリインストールアプリに対する基本的な方針は「アンインストールできるものはして良い、できないものは無効化しないほうが良い」とわかりやすい。adbいらずで素晴らしい。 Google Playが入っていないような端末だから、「大量のGoogleアプリをadbで無効化するが、それでも復活してくる」の苦しみもない。

OPPOは中国ではかなりパワーのある企業であり、GoogleやAmazonのようなことをしようとしているようだ。 そして、HeyTapアカウント=OPPO IDをGoogleアカウントの代わりのようなものとして使うことができる――これは国内端末でも同様。

ただ、このアカウントが中国とそれ以外で明確に分かれていることに注意が必要だ。 グローバルアカウントは電話番号、またはeメールアドレスで登録できる。HeyTapアカウントは存在しないIDを登録すると自動的にアカウントが作られる(電話番号を捨てるときは注意が必要な気がする)。 ちなみに、サインアウトにパスワードが必要で、サインアウトするときに同期したデータを消すかと聞かれて「勝手に同期されてるの!?」という気持ちになるが、ちゃんと同期項目があり、デフォルトでオフになっている。

一方、中国仕様端末でのHeyTapアカウント登録は中国アカウントになる。 ログインに関してはグローバルアカウントでもログイン可能だが、中国アカウントの登録はメールアドレスで行うことはできず、電話番号も中国の電話番号でしか登録できない(国番号の選択があるのに!)。 なので中国の電話番号を持っていない人は中国仕様端末でのHeyTapアカウント登録はできない。 そして、中国仕様端末では、グローバルアカウントでサインインすると、ほとんどのOPPO IDを使う機能が使えないのだ………… 「当局の指導により現在は利用できない」という主旨のメッセージに悲哀がにじむ。この関係で、テーマストアも利用できず、端末の100%の機能を使うことはできない。

これに深く絡んでくるのがBreeno。 これは、Siriのような音声アシスタントであり、Google(アプリ名)のように健康やコレクション、ニュースなど、幅広い機能を網羅する。だが、Breenoを使うのにOPPO IDが必要で、システム全体のアシスタントが無能になってしまうのだ。

ただ、これはそれほど嘆くことではないのかもしれない。 なぜならばほとんどの機能は中国語でのみ提供され、ウェイクコールの「小布小布」を発音するのがとてもむずかしいからだ。 Breeno自体はアジア圏向けに提供されているものなので、別に中国専用というわけではないが、中国端末は中国仕様である。

これを含めて、ちょいちょい中国語が出てくる。 私は中国語は全く読めないけれど、中国同人とか割と好きなので抵抗はないので気にならないけれど、中国が嫌いな人はやめといたほうがいいだろう。 なお、フォントに関しては日本語はちゃんと日本語フォントになっており、中華フォント問題に悩まされることはない。

個人的な感想としては、日本版より中国版を買いたいくらいの差し引きだった。これは、後述の「プライバシー保護」の存在もある。

システム面

まず、非常に大きな点を、声を大にしていいたい。

日本国内ではColorOSのアプデで消えてしまった「プライバシー保護」がのこっている。

これは、アプリが端末に対して個人情報へのアクセスを求めたときに、空のデータを返すという機能で、権限を落とすことができないアプリに対して強力なプライバシー保護を提供する。 ちなみに、これはOPPOのアプリに対しても適用できる。

正直、私にとってOPPOにする最大の動機であったため、これはすごく嬉しい。

これを含め、R17に載っていた、あるいはそれ以上の手厚いプライバシーとセキュリティの機能が搭載されている。 口八丁にしか聞こえない「プライバシーを大事にする」なんかとは比較にならないほどの本気を感じられて素晴らしい。 むしろこんなにしたら中国政府に目をつけられないのだろうか。日本政府は「ユルサナイ」となったから日本版からは消えているのだと思うが。

システムはColor OS 13で、これ自体は日本国内でも流通している(Find X3 Pro用)。 Find X2 ProのColor OS 11と比べると、全体的に「分かりにくくなったが、便利になった」という印象。

生体認証はオンスクリーンの指紋センサーと、顔画像認証。 Find X2 Proとは比較にならないほど高速かつ正確になったものの、手が濡れていると識別できない指紋センサーではある。

ただ、これについてはFind X2 Proにあった非常に大きな「顔認証によって認証が中断される」という問題がなくなっているため、非常に大きく進歩している。 これは、Find X2 Proは顔認証が有効になっていると、ウェイクすると即座に顔認証をスタートするのだが、指紋認証を開始するとウェイクし、顔認証に失敗すると指紋認証は中断されて失敗する。これは、認証の失敗2としてカウントされる。 その後、ロック画面から指紋認証を開始した場合、同時に顔認証を試みるため、顔認証が失敗する限り同じことを繰り返す。 顔認証が失敗するより早く指紋が認識されればよいため、指紋認証が使えないわけではないのだが、かなり大きなバッドエクスペリエンスだった。 これが、Find X6 Proでは独立判定になっており、顔認証に失敗しても指紋認証は続行される。

Color OSユーザーならおなじみの「スマートサイドバー」は「特殊機能」の中に入った。 類似の機能は他のスマートフォンにもあるが、それらと比べてかなり実用性が高い。

通知ドロワーまわりはかなり強化されており、非常に豊富な機能を持っている。通知ドロワーをうまく活用し、Color OSの非常に豊富な機能にうまくアクセスしやすくしている。 また、通知エリアに常時表示できる内容もかなり多い。

OPPOは独自にシステムを統合制御するような様々なアプリを導入しているが、これらは日本でよくあるシステムアプリと違い、大部分はアンインストールが可能で、また起動時にどのような目的でなんの権限にアクセスするかを詳しく説明される。 ここで同意するかしないかを選べるのだが、同意しないとした場合、それらの権限がなければ動作できないアプリを除き次のステップに移行する。次のステップでは「同意して機能を有効にする」「最低限の機能で起動する」「終了する」の三択が可能だ。 日本のよくあるアプリの何倍も誠実な印象。

常時表示ディスプレイはテーマによってコントロールされる機能となり、テーマアプリが中国OPPO IDなしに動かないため、選択の余地がなくなった。 日本ではあまり使えないが、機能的には拡張されている。 ただし、日本で使う上で私の使い方では通知で常時表示ディスプレイに表示されるものがシステム的なものに限られてしまい、「通知音が鳴ったときに、なにがあったのかをスマートフォンを開かずに確認する」ができなくなったマイナスが大きい。

Chienomiで解説したことがあるものを含め、注目すべき良い点は

  • 個人情報へのアクセス時にからの情報を返す「プライバシー保護」
  • アプリ起動にシークレット認証を要求する「アプリロック」
  • ホーム画面/ドロワーからアプリを隠す
  • ファイルを隠蔽する「プライベートフォルダ」
  • アプリがクリップボードアクセスを行ったときに通知する
  • 権限設定が可能な権限にアクセスしたアプリと時刻が記録される「権限使用記録」
  • カメラとマイクのシステム的切断
  • 一部のアプリに複数のプロファイルをもたせることができる「アプリクローン」
  • 非常に様々な表示が可能なステータスバー
  • 機能満載の通知ドロワー
  • システムレベルVPN
  • プライベートDNS
  • 偽基地局ブロック
  • Android標準より便利でタッチポイント表示のあるスクリーン録画
  • 多彩なジェスチャー
  • ホームのスワイプダウンで通知ドロワーを開く
  • 様々な機能の有効化において何を要求し、何を引き換えに何が提供されるのか説明される
  • ポケット内ミスタッチ防止
  • 可変画面解像度
  • 可変リフレッシュレート
  • 多彩なチューニングが可能な「ゲームスペース」
  • スクリーン録画
  • リバースワイヤレス充電
  • フレキシブルウィンドウ
  • ビデオ通話時のインカメラビューティ機能

ゲームとゲームスペース

Color OSの仕様としては、ゲームはゲームスペースに格納され、ゲームスペース経由で起動することでゲームモードになりゲーム向けのコントロールが追加されるという仕様だった。 しかし、Color OS 13ではゲームスペースというアプリは姿を見せず、ゲームを起動したときに自動的にゲームモードになる仕組みになった。 「認識の問題はないのか」という気持ちになるが、ぴよ将棋もちゃんとゲームアプリとして認識されるから、問題はなさそうだ。

ゲームスペースの機能の半分はBreenoが持っており、サインインが必要で使えない。 だが、依然として強力であり、性能面を差し置いてもOPPOスマートフォンでゲームをする理由があると感じる。

ゲームスペースの機能は次のようなものだ。

  • ネットワークコントロール
  • パフォーマンス調整
  • レイテンシ表示
  • FPS表示
  • 明るさ調整と固定
  • ネットワーク最適化
  • タッチ感度最適化
  • 通知ドロワー無効化
  • 3本指ジェスチャー無効化
  • ナビゲーションジェスチャー無効化
  • 祝日やイベント日を強調
  • スクリーンショット
  • 画面録画 (タッチ表示つき)
  • 通知ブロック
  • バックグラウンド待機
  • 通話拒否
  • オートプレイモード (自動プレイ中向けに省電力化する)
  • 選手権モード (ゲーム以外の全てを遮断する)

これらを自在にコントロールできる。

このほかに、動画共有や、チャット、コミュニティ機能などもあるが、これらは中国向けのものである。

Find X2 Proはゲームでいまいちパフォーマンスが出ないという問題があり、特にUnityのアプリではフリーズしたりかくついたりする傾向があり、音ゲーのプレイはかなり難しいタイトルが多かった。 その点を懸念していたのだが、Find X6 Proには基本的にその問題はない。 ただ、KALPAに関しては少しだけもたつきを感じることがあった。

カメラ

まず、基本的な仕様を確認しよう。

リヤカメラは3眼で、広角, 超広角, ペリスコープという構成。 センサーは広角に1インチのIMX989を、超広角とペリスコープにはIMX890を搭載し、センサーという面では現状最強のスマートフォンとなっている。 さらにソフトウェア面でハッセルブラッド監修のチューニングが施されており、ハッセルブラッド監修のAIフィルターも搭載される。残念ながらレンズはハッセルブラッド製ではなさそうだが、Find用のスペシャルレンズではあるようだ。

Find X2 Proは超広角マクロだったが、Find X6 Proはテレマクロになっている。

加えて、独自開発の画像処理プロセッサ、Marisilicon Xの最新版も搭載する。 こちらはチューニングの甘さが指摘されあまり評判はよくなく、今後は継続しないことが発表されているものではあるが、間違いなくウリのひとつではある。

そして実際に使ってみたのだが、事前に予想していた通りではあるが、一筋縄ではいかないというか、潜在能力を発揮させるのが難しく、手放しで称賛はし難い。

話題にならない特徴として、OPPOのスマートフォンはAFが爆速だ。動画でもほとんどフォーカスを失わないレベルなのだが、こちらはFind X6 Proは少し控えめであるように感じられた。R17 Proよりは速いが、Find X2 Proより遅い。 これはセンサーが大型化してピントがシビアになったせいもあるのかもしれない。

1インチというセンサーサイズは一眼カメラに搭載されるAPS-Cサイズよりはだいぶ小さいのだけれど、実際に使ってみるとピントは相当にシビアだと感じた。特にピントをあわせずになんとなく風景を撮ると全体的にぼやけた印象になってしまうし、近くのものを撮ると非常にボケが強く感じる。 Find X2 Proでは基本的にはメインセンサーだけで撮っていく感じだったが、Find X6 Proはセンサーを意識して使い分ける必要がある。しかしレンズ構成は23mm/15mm/65mm。ペリスコープに入るのは2倍ではなく3倍(正確には2.7倍)。 メインセンサーに関してはスナップ撮影でサッと撮るのには向かず、ちゃんと構えて撮る必要がある。私が試した限り標準の「写真」モードでは少なくない場面でうまく撮影できず、Proモードで撮るつもりでいる必要があるかもしれない。

そう、Find X2 Proにはなかったが、Proモードがある。 感度, シャッタースピード, 露出, マニュアルフォーカス, ホワイトバランスの機能を持ち、RAW出力も可能。

Find X6 Proは「写真を撮るためのカメラ」をスマートフォンにもとめている人のためのもので、明らかにSNSやメッセンジャーで体験を共有するためのカメラがスマートフォンに付属することを望む人のためのものではない。

ではもう少し深い視点に入っていこう。

もともとOPPOは画作りが派手な方だが、超ド派手だったFind X2 Proと比べれば地味だ。 ただ、基本的には主張が強い傾向ではある。X90 Pro+のほうが評価が高い、という点は頭に入れておいたほうがいいだろう。

そして撮影すると、確かに微かに微妙さを感じる。超高次元の話だろうと思っていたのだが、一眼レフで撮った写真と比べると「む……」となる感じがある。 ちょっと画が甘いというか、情報を拾いきれていない、あるいは適切に表現できていない印象を持つ。 これはソフトウェアアップデートを望みたいものであるのは確か。

Find X2 Proのド派手な画には文句つけなかったクセにと思うかもしれないが、あれはスマートフォンの画なのでいいのだが、こちらはもっとカメラの画に寄っているため、微妙に気になる。これは、Find X2 Proでは48Mpxはそんなに必要性を感じなかったが、Find X6 Proの50Mpxはよりディティールに寄れる作品を残す意味で普通に使う、という違いにもなっている。

「Find X2 Proはインスタ向けだったんだなぁ」という気持ちだ。 アートとして技巧を追求するようなカメラではなかったが、Find X6 Proはそういう世界になっている。

メインセンサーが「おいしい距離」が狭く、基本的には「寄りたい場合は望遠を使う、スナップでは超広角で撮って必要ならクロップする」という意識が必要。望遠は3倍ということも頭に入れておかないといけない。

「難しい……」と感じたが、Find X6 Proについてるのは「作品を撮るためのカメラだ」と考えれば納得できる。 非常に評価の高いIMX890センサーはずっと難易度が低く、簡単に美しい写真が撮れる。 ただそれでもなお、Find X2 Proと比べれば腕前を要求される。

つまりは、スペックに飛びついて買うべきではないスマートフォンということになる。 このカメラの価値を理解できる人が買うべきだ。 私はどうか? 使い分けによってなんとか付き合っていけそうだ。

なお、ボディとしてはかなりの部分がカメラなわけだが、外観のところで触れた通り当然ながら邪魔である。

さて、実際に写真で比較していこう。 まずは、「Misskeyが丘」と呼ばれる、Misskey.ioの聖地と化している場所で撮影したものだ。

X2は48Mpx、X6は50Mpxで撮影することができ、実際撮影していたが、そのサイズの画像だとブラウザでは表示することができなかったため、12Mpxの通常モードで撮影した画像を掲載している。

Xperia XZ3
Find X2 Pro
Find X6 Pro

Find X2 Proが緑が非常に鮮やかで、ド派手で強烈な印象。 パッと見の印象勝負ならFind X2 Proが最も目を引くだろう。

Xperia XZ3は19Mpxのカメラを搭載する。 落ち着いていて一見悪くなさそうだが、よく見るとディティールが結構潰れているのと、色がおかしい部分があり、まぁ甘い。

この写真はピント合わせを行わず、単にカメラを向けて撮っただけのものになるため、X6は非常にピンぼけしている。 こういう近くから遠景まで一望を写し込む風景写真には1インチセンサーはあまり向かないようだ。もちろん、シチュエーションに合わせて超広角で撮れば望むようになるだろう。

ただそれでも、手前の草の部分を見るとX2とX6でディティールにかなり差がある。写しこむ力は非常に高いようだ。

続いてMisskeyが丘からほど近い、生田緑地で撮影した花。 日向と日陰が入り混じり、ダイナミックレンジの広い写真だ。

Find X2 Pro
Find X6 Pro

パッと見にわかることとして、Find X2 Proのほうが明るい。 Find X2 Proは常に明るく撮影するクセがあり、街灯の薄明かりが照らすような夜景を撮影しても、めちゃくちゃ明るく映る。 Find X2 Proがf1.7なのに対し、Find X6 Proはf1.8だからFind X2 Proのほうがわずかに明るいのは事実だが、差はわずかなので、単純にプロセッシングの差だろう。

この理由で特に夜景ではFind X2 Proの画作りは非常に独特で、良くも悪くもといった趣である。

ひとつ注目すべき要素としてシャッタースピードがある。 シャッタースピードが速ければその分手ブレしにくい。 Find X2 Proが1/1454sなのに対し、Find X6 Proは1/6251sは圧倒的に速い。センサーのネイティブ感度の差だろうか。

ヒストグラムで比較してみる。

Find X2 Proの明度
Find X6 Proの明度
Find X2 ProのRGB
Find X6 ProのRGB
Find X2 ProのLuminance
Find X6 ProのLuminance

同じ位置から撮影してはいるが、画角が違うことと、手で構えているため向きも少し違うため厳密な比較はできないが、傾向としてはFind X2 Proのほうが全体的に明るめである。

また、Find X2 ProのほうがLightness, Luminanceともに平坦でもある。両者に光と影の表現の度合いにかなり大きな差を感じるが、全体での明るさ以上に、そうした抑揚の差がはっきり出ている印象だ。

Find X2 Proの写真のほうが見やすいが、Find X6 Proの写真のほうが深みがある。

充電

充電器は100-240Vで動作する、穴のないAタイププラグの中国仕様になっている。 最大出力は100Wだが、100Vの日本では80Wが上限。とはいえ、ラップトップPCよりも高速に充電する。

実際にバッテリー60%ほどの中間域だと45Wほどで充電され、20W程度になる45W充電器との差は大きいが、60W充電器とはそこまで大きく違いを感じない。

ただ、45Wの時点で、出かけようとしたタイミングになってからバッテリーがないことに気づいても、5分ほどの充電である程度使えるという強みになっているのだが、本当にバッテリーがない状態でスタートしたときにどこまで充電できるかというのは変わってきている。 45W充電器は「そんなに使わなければ帰るまで持つ」(40%台)だったのが、60Wだと「そこそこバッテリーはある」状態(70%台)になる、くらいの違いである。そして、80Wになってより短い時間でもそこに到達できるようになった。

一方、充電器は順当に大きくなっており、持ち歩くのはちょっとしんどいサイズになっている。

SuperVOOCは日本では3000円ほどで売られている専用ケーブルを使うが、このケーブルは初期からあるもの(オレンジ端子)からはモデルチェンジしたものの、特にケーブルによる給電の違いはなかった。 専用ケーブル以外では10Wも出ない程度だ。

なお、計測はUSBテスターを使った。

個人的には充電が早くなったことよりも、省電力性が上がったことと、5000mAhバッテリーの組み合わせによって「バッテリーが減らない」ほうを強く感じた。 もちろん、X2がある程度バッテリーがヘタっているのもあるかもしれないが、ゲームをしてもあまり熱くならないし、やはり省電力性が向上しているように感じられる。

充電器は100Vで80Wまで対応する最新型のSuperVOOCだが、60WのSuperVOOCを使うFind X2 Proとの互換性はいまひとつで、高速モードには入るものの、60Wのモードには入らない。SuperVOOCとしての充電モードには入れるため、「ある程度の」互換性はあるが、SuperVOOCの規格はかなり数が多い(18W, 33W, 45W, 60W, 65W, 67W, 80W, 100W, 150W, 240Wなど)ため、ほとんどの場合機種専用の充電器を用意しなければならないことは大きなマイナスポイントだと言える。

ただし、これは日本で入手可能な一般的な機種との比較においてはマイナスと見うる要素ではない。 なぜならば、少なくとも45W/60W/100Wの充電に対応した端末は、少なくとも45W充電器の水準で充電可能であり、これは日本で入手できる一般的な端末の充電速度より速いためだ。 このあたりは考え方によって違ってくる部分。

なおもうちょっと試したところ、18%スタートで8.8A/7Vでだいたい60W、もう少し充電されると9V/5Aで45Wというところで、やはり60W SuperVOOCとあまり変わらないという結果になった。 電圧の高い国なら中間域での充電ペースも上がっているのかもしれないが、少なくとも日本では60Wに対するアドバンテージはやや微妙。 これでも結構熱くなるし、これ以上の充電速度向上は微妙なものなのかもしれない。

そもそも、これでも「5分で70%」みたいなレベルなので、本当に「今急いで出かけなきゃ! でも充電がない!」みたいな状況でない限り、不足はない。

総評

予想外によかったのは、日本では削られたプライバシー/セキュリティ機能が全部載っていたこと。 中国当局に怒られないのだろうか。

予想外の残念ポイントは、中国OPPO IDがないと使えない機能が結構あること。

1インチセンサーのカメラは扱いが難しく、大きなカメラがやや邪魔ということを含め、カジュアルな「使いやすさ」が損なわれている印象はある。

だが、ColorOSの利便性、使いやすさに、これほど最強のハードウェアが組み合わせられ、よく練られた素晴らしいスマートフォンであることは間違いなく、これほどまでに完璧なスマートフォンはそうそうないように思う。

普段はFind X2 Proで困っておらず、Find X2 Proのほうが(そこそこの年数既に使っていることも含めて)気軽に使えるため併用というか、使い分けているが、単にそういう環境にあるからそうしているだけで、Find X6 Proが単独で使いにくいということはない。

想像以上に素晴らしく、スマートフォンの新しい次元を感じた。