序
YouTubeの音が小さい問題についてはChienomiで言及した。
同記事でゲイン差が大きいため、それを埋めるためにコンプを使う話をしたが、実際にどれくらい違うのか計測した。
計測データ
アーティスト | 配信者種別 | 動画種別 | 平均 | 最大 |
---|---|---|---|---|
リゼ・ヘルエスタ | VTuber | ゲーム配信 | -20.3 | 0.0 |
鹿瀬紫卯 | 声優 | ゲーム配信 | -25.3 | -8.7 |
RichaadEB | ギタリスト | 音楽演奏 | -8.7 | 0.0 |
ふぃくしのん | ピアニスト | 音楽演奏 | -17.6 | 0.0 |
UNA丼 | ジャーナリスト | 自動車紹介 | -22.9 | -3.2 |
ゲームさんぽ | ニュースメディア | ゲームコメンタリ | -19.2 | -0.0 |
カカチャンネル | ゆっくり | ゆっくり解説 | -14.6 | 0.0 |
日本中国料理協会 | 料理法人 | 料理 | -19.8 | 0.0 |
Mori | 料理人 | 料理 | -40.2 | -12.2 |
FIA | スポーツ団体 | PV | -25.3 | -8.7 |
SRO | スポーツ団体 | レース実況 | -29.2 | -6.6 |
GTA | スポーツ団体 | レース実況 | -12.0 | 0.0 |
村中秀史 | 将棋棋士 | 将棋実況 | -25.1 | -4.2 |
原神 | ゲームメーカー | ラジオ番組 | -19.6 | -2.6 |
文化放送 | ラジオ局 | ラジオ番組 | -21.6 | -0.0 |
sat | 技師 | 解説(声のみ) | -39.8 | -10.1 |
徳丸浩 | 技師 | 解説(声のみ) | -21.6 | 0.0 |
はるかみ | 私 | 解説(声のみ) | -21.4 | 0.0 |
しっかりした運営のなされているチャンネルの投稿動画は少なくともゲインの最大化はなされている。 また、ある程度音圧を稼ぐような処理もなされている傾向があるようだ。
特にメディアであるゲームさんぽ(ライブドア)と文化放送は-0.0なのできっちりとゲインを上げてあって素晴らしい。
一方、配信慣れしていないと思われるチャンネルはヘッドルームを残したままになっている。 意外なことに、WRCのPVがゲインをちゃんと上げていない。
配信は基本的に余裕が関係上音圧の適正化は難しい。 OBSで配信するのが一般的だから、コンプリミッター等を使って最終的にゲインを稼ぐようにすれば軽減されるのだが、それをやっているかどうかは分かれるのだろう。 FIAやSROがきちんと処理していないのは非常に意外。
リゼさんは基本的にどの配信でも0.0dBに到達しているようなので、コンプリミッターをかけて配信しているのだろう。 もしくは単純にクリップしているのかもしれないが。
UNA丼さん、鹿瀬紫卯さんに関しては非常に音が小さく、聞き取りづらい。特に鹿瀬紫卯さんの配信は思い切りゲインを上げないと聞き取れないため非常に厳しい。
Moriさんの動画は音声としては料理ASMRであるため、小さいことはそこまで気にならない。 コンプで上げるとちょっと迫りすぎているくらいだ。
結論
MVのような音量が完全に適正化されているものを除き、聞きやすさを優先するならば、総じて-12〜-16dBをThreasholdとして4:1くらいで圧縮して、+9dBくらいmakeしてやれば安定しそうである。 もっと聞きやすくするなら、+12〜+14dBのInput gainで-12〜-16dB Threashold、4:1〜6:1くらいの圧縮をかけて0dB makeで良さそう。
また、整音で聞きやすい動画をアップしたいと考える場合は割と「しっかり潰す」がキーになりそう。 ダイアログの場合、0dBまで行っているかどうかよりも安定しているかどうかのほうが大事なので、最大-4dBあたりをターゲットに、比較的小さいところでも-12dBにかかるくらい(意図的な小声とかは別にして)に潰すと良さそうだ。
話している内容の聞きやすさだと、男性でも1kHzあたりを持ち上げると明瞭に感じるのだが、他の帯域を落とすと聞きやすいというわけでもないので難しい。低音を少し下げ気味が聞きやすいが、魅力的な低音を演出したいなら64〜128Hzあたりも上げておきたいところではある。
配信では多少クリップしてもちゃんと音量が出ているほうが聞きやすい。 前提としてコンプリミッターの入ったインターフェイスあるいはUSBマイクを使うことを考えたほうが良いかもしれない。
最終的には2mixあるいは1mixをマキシマイズすれば0.0dBに揃うので、どれだけ粒を揃えられるかという話になる。 可能ならマキシマイズせずに適性な音圧を稼ぐようにミックスするのが理想的だ。あまり大きすぎても視聴者も困るので。
なおYouTubeはブラウザによるノーマライズが効くため、しっかり音圧を稼いでも下げられてしまう。 ここをコントロールするのは容易ではないだろう。
BGMを入れたりすると話は非常に難しくなる。 DAW上で混ぜてちゃんとミックスするならともかく、ミキサーに混ぜるだけだとどうなるかが予測しづらい。