インプレッサSRXはF型とG型にのみ設定されたグレード。 セダンとワゴン両方あり、一言で言えばNA版WRX。
ホイールがちょっと小さいのと、WRXといえばのボンネットの穴がないのがチャームポイント。 リヤのデカールはWRXと同じ書体でSRX。
WRXが260万円でSRXが200万円。出力はWRXが280馬力に対して、155馬力。 こんなクルマを魅力的に思うかどうかはわからないけど、斜め前から見るとバランスがおかしくて違和感がすごい。でも、EJ20のNAってシュウィーーンって感じのフィーリングなので、実は結構いい。
でも売れなかった。 そう、売れなかった。
それでもスバルはめげなかった。 2代目インプレッサになったとき、ワゴンモデルはI’s, I’sスポルト, 20N, 20Kというラインナップだったのに対し、セダンのほうはすっきりとWRX-NA, WRX-NBという構成だった。 NAはNAで155馬力、NBはターボで250馬力。 そう、ターボは従来WRXでも280馬力だったのに、30馬力減ったのだ。ちなみに、2ヶ月後にWRX STiが追加され、無事280馬力に復帰する。
こっちは、重くなったのでもっさりした感じになった。NAは早々になくなり、マイナーチェンジで代わりに20Sというモデルが追加された。
SRXに関しては、「スバルのNAスポーツ」って感じでちょっと独特な魅力があった。 ただし、BRZの205馬力も大したことないと感じる人が多いわけだし、速くはなかった。いや、それでも決込みう刺激的だったけど。 一方、WRX-NAは激しさがない分、落ち着いた大人のクルマって感じでなかなかよかった。 スバルが「大人のクルマ」を強調しだしたのは、この2代目インプレッサ、3代目レガシィの頃から。 WRX S4がウケるなら、WRX-NAの魅力を理解する人がいてもよかったと思う。 けど、まぁマニアック過ぎてやはり誰も買わないタイプのクルマではある。
SRXは乗ってみればなかなか良いと思うけど、WRX-NAは本当にマニアック。
ちなみに、スバルはまだめげずに、4代目レガシィに2.0Rを投入した。WRX-NAをやめた後なのに、だ。 6気筒の3.0Rや、ターボの2.0GTの影に隠れて、本当にマニアックなクルマになってしまった。
WRX-NAが「しっかりした車体に、ちゃんと力のあるエンジン。ターボのような荒々しさもなく、これぞおとなの選択」みたいに持ち上げられるのに対して、これはとても微妙。 当初、安いグレードとして2.0i(EJ20 NAの140ps)があり、スポーツバージョンとして2.0R(EJ20 NAの190ps)があり、そしてトップに2.0GT(EJ20 ターボの280ps)があった。 この時点ではまだわかるし、魅力もあるように見える。といっても、既に「安い実用的なレガシィなら2.0i、スポーツなら2.0GT」ではあるけど。
しかし、このあ(半年くらい後)と3L 6気筒のEZ30エンジンを載せた3.0R(250ps)が出る。 新開発の水平対向6気筒エンジンはとてもスムーズで、上質感もあってまさに「オトナのクルマ」。
これで2.0Rの存在はますますよくわからないものになってしまった。 車格もそれなりにある、そして「上質な大人のクルマ」を強調したレガシィで痛快に回して走る2L NAのエンジンはミスマッチすぎて、どうしようもなくマニアック。 もちろん、グレード構成として、EJ20のNAモデルを単に廉価グレードだけに設定するのではなく、ターボとの間にスポーツモデルを作ろうという発想自体は分かるのだけど、積極的に選ぶ理由にとぼしすぎた。